先物取引
原資産をコメ、期日を9月30日とするケースでの先物取引を想定してみます。8月の取引時点で、かなりの豊作が見込まれる場合、収穫期にはコメの需給バランスが崩れ、コメの実勢価格が例年よりも下落することが予想されます。コメの売り手(生産者)が損失を抑えるには、8月の時点で可能な限り9月30日に高くコメを買ってもらうための契約を取り付けることが選択肢のひとつとなります。この時、コメを大量消費する業者(和菓子屋など)が、生産者の求める先物価格で購入すると契約した場合、取引は成立します。
そのまま、期日の9月30日が到来したとしましょう。
和菓子屋の立場に立つと、
8月の想定よりコメの収穫量が少なくなり、期日時点のコメの実勢価格が先物価格を上回っていた場合、市場よりも安くコメを調達することに成功したこととなります。
反対に実勢価格が先物価格を下回った場合、和菓子屋は市場でもっと安くコメを調達できたわけですから、一般的な意味で損をすることになります。
もっとも、和菓子屋は天候など不確実性が高いなかにあって、年間の収益計画を立てなければなりません。自社が購入した先物価格を前提とし、計画通りに和菓子を生産・販売できたなら、計画が未達となることはなく、経営の安定化につながります。
生産者側も先物を活用することで収支のバランスを見通せるようになり、生産計画も立てやすくなります。すなわち先物取引は、不確実性の解消を目指すためのツールと言えるのです。