仕組み債
買うな
顧客側では、将来時点にある条件(ある会社の株式が現在の株価を下回らないなど)があり、これが満たされた場合に顧客は通常よりも有利な金利を受け取る。逆に、満たされなかった場合に株価下落の損失を負担するなどのリスクを負う。
仕組み債を組成して提供する側では、顧客側の条件が満たされた場合に顧客に提供するメリットを用意しておかねばならない等のリスクがあるが、このリスクは十分ヘッジが可能だ。その上で通常は年率で債券額面の数パーセントに及ぶ実質的な手数料が確保できるように設計されている。このほぼ確実に得られる実質的な手数料を組成者と売り手金融機関とが山分けする仕組みだ。
まだ破綻していない銀行も含めて、含み損を抱えた債券ポートフォリオの債券は「満期保有」を前提に、会計上、時価評価による損益のブレを反映しなくてもいいことになっている。率直に言って、銀行の監督をこんな「ザル基準」でやってはいけないと筆者は思う。 しかし、毎期毎期の時価評価を避けつつ、収益を計画的に計上してそれで良しとする制度は、日米の別を問わず、「現場」の人気が高い。
なぜか?
一つには、毎期毎期の損益のブレを気にせずに経営や運用が出来るからであり、
もう一つには「現場ベース」ではこの制度を悪用することが可能だからだ。
一連の制度設計とそこに関わる人間模様全体を「時価評価回避の病」と名付けておく。
判決は女性が投資経験に乏しく、投資の目的は「資産の保全」と伝えていたにもかかわらず、担当者は複雑な商品の購入を勧誘したと指摘。
3種類の商品の勧誘について、顧客の意向や実情に応じて商品を勧めるとする金融商品取引法上の原則から著しく逸脱しており、賠償責任があるとした。