人工子宮SF:紹介文
ピッチ
抽象論から入らず、具体的な1シーン/1フレーズで掴み、その後に思想と構造を展開する形にする。以下、若者向けSF雑誌向け・1〜1.5分ピッチを3案。すべて「最初の一文で引っかける」構成。
案①
「その皇太子は、誰の腹からも生まれていない。」
少子化と皇統断絶の危機に直面した日本で、人工子宮によって誕生した皇太子をきっかけに、社会は分裂する。出産はすでに国家インフラとなり、人工子宮とAI乳母によって子供は「家庭」ではなく「社会」で育てられている。右派は家族と伝統を掲げて反発し、左派は技術による解放を支持するが、最終的に争点になるのは倫理ではなく人口と国防だ。本作は、合理的には説明できない「それでも国家を続けたい」という感情が、制度と思想をどう歪めるかを描く、日本社会特化型の政治SFである。
案②
「この国では、子供を産んだことがある人間の方が少数派だ。」
人工子宮とAI乳母が普及した社会では、出産も育児も「やらなくていい選択肢」になっている。恋愛も家族も必須ではなく、役割から解放されたはずの若者たちは、逆に自分が何者なのか分からなくなっていく。少子化対策として国家は出産を公共事業化し、「育児無料・家庭コストゼロ」を実現するが、それは同時に母性と家族という概念の解体を意味していた。本作は、個人主義が完全に勝利した後に残る空白を描く、ポスト自由主義SFである。
案③
「かつて粉ミルクは、『母性を壊す不自然な技術』と批判されていた。」
本作はその歴史的事実から始まり、次の不可逆な代替技術として人工子宮を描く。少子化が止まらない日本で、国家は人工子宮とAI育児を制度化し、子供を“産みっぱなし”で社会が引き取る仕組みを作る。右派・左派・フェミニズム内部で激しい論争が起きるが、最終的に勝つのは思想ではなく、数と制度である。技術が完全に成功した後、人間の尊厳や家族観はどこに退避するのかを問う、冷静で挑発的な思考実験SFだ。