不気味の谷
1970年に東京工業大学の教授だった森政弘がエッソ・スタンダード石油の広報誌「Energy(エナジー)」(第7巻第4号)に書いた 筆者は、ロボットの外観をより人間に近づけるという登山の道程においてそのロボットに対して人間がいだく親和感に、この谷のような関係があることに気がついた。筆者はこれを「不気味の谷」と呼んでいる。
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義手もこのごろでは製作技術が格段に進歩して、ちょっと見たところでは、それとはわからぬ程度のものまでもができている。手の表面には腱や血管のふくらみまでが付いており、指には爪はおろか指紋までもが見られるのである。...しかしこの種の義手は、一見生の手のように見えるのではあるが、かえってそれだけに、それが作りものであることが判明したとたん、気味悪い感じにおそわれるのである。握手でもしてみれば、その骨のないふにゃふにゃした握感と、ひんやりと冷たい感触とがミックスされて、ヒャーッと飛びあがってしまう。こうなると親愛感どころではなく、不気味というほかはない。数学的には、不気味は負の親愛感として把握してよいから、この種の義手――一般には装飾義手といっている――は図1では、類似度は大きいが親和感はマイナスという谷底に位置することになる。これが「不気味の谷」なのである。 さらに深い考察を加えている
動きというファクターが加わると、図1の山はいっそう高く、また不気味の谷はさらに深みを増すのである。
不気味の谷に位置する義手に動きが加われば、その不気味さはたいへんなものとなる。
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人間に似せないデザインで不気味さを消すことデザイナーに勧めている
ロボット工学者の森政弘が1970年に提唱した。森は、人間のロボットに対する感情的反応について、ロボットがその外観や動作において、より人間らしく作られるようになるにつれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外観や動作と見分けがつかなくなるとふたたびより強い好感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるようになると考えた。