マリカー判決
任天堂に訴えられたやつ
著作権の争点について、裁判所はほぼ判断を回避した。
「マリオ」など、4キャラの複製・翻案・公衆送信等の差止については、「具体的な行為特定を欠く広範・無限定な差止」という一点で切っている(79頁)。その余波で、コスプレの映った写真・画像の著作権侵害の点も「判断に及ばず」とバッサリだ。
他方、コスプレ衣装の貸出のほうは、「不競法でもう禁止した」という理由で「判断に及ばず」である(80頁)。なるほど、たしかに今回のケースだけに絞れば、この判決で任天堂はおおむね目的を達成するので、それ以上判断する必要はないとも言える。
というのも、不競法と著作権では、同じ「類似の禁止」でも基準が違うのだ。一概には言えないが、特に今回のケースでは、著作権侵害にあたる「類似」のほうがハードルは高いだろう。不競法は、顧客が「任天堂のビジネスだな」と誤信するかどうかが重要だ。だから、コスプレも、人々が「マリオだな」と連想すれば、違反認定に近づく。