ハッカー
大学や研究所がハッカーに本当にやりたいことをやらせてくれないと したら、企業にゆくしかないのだろうか。 不幸なことに、多くの企業はやっぱりハッカーにやりたいことを やらせてはくれない。大学や研究所はハッカーに 科学者たることを強要するが、企業はハッカーにエンジニアたることを強要するからだ。 私はこのことにはごく最近になるまで気づかなかった。 YahooがViawebを買収した時、彼らは私に何をやりたいか尋ねた。 私はビジネスのことには全然興味がなかったので、ハックしたいんだと答えた。 Yahooに入ってみたら、彼らにとってハックするということは ソフトウェアを実装するということで、デザインするということではないということが わかった。プログラマは、プロダクトマネージャのビジョンとかいったものをコードへと翻訳する技師とみなされていたのだ。 どうも、大企業ではそれが普通らしい。 そういうふうにすれば、出力のばらつきを押えることができるからだ。
ハッカーのうち実際にソフトウェアをデザインできる能力のある人間はほんのひと握りであって、 企業を経営している人々が彼らを見つけ出すのはとても難しい。 だから多くの企業では、 ソフトウェアの未来を一人の素晴らしいハッカーに託すのではなく、 委員会によって設計し、ハッカーはそれをただ実装するだけという 仕組みを作るんだ。
大企業とデザインで勝負する方法を見付ければ、彼らは絶対あなたには勝てない。 でもそういう機会を見付けるのは簡単ではない。
ハッカーは科学者よりももの創りに似ているのだから、 メタファーを探すのは科学者よりも他のもの創りの分野からの方が良い。