サル痘
サル痘ウイルス感染による急性発疹などを主な症状とするウイルス感染症
感染症法では現在4類感染症(おもに動物を介してヒトに感染する感染症が該当)に指定されています。
1970年にアフリカのザイール(現在のコンゴ民主共和国)で初めて報告され、西アフリカや中央アフリカで地域的に発生してきている感染症でした。ウイルスにはいくつかの株・系統が知られており、重症化率や致死率などが異なります。
2022年春過ぎから広がっている感染においては、同性間での性交渉があった若年男性に発症者が多く、感染ルートは主に性的接触によるものと考えられています。女性の感染も報告され始めています。
現状、治療は対症療法のみです。予防には天然痘ワクチンが有効とされており、WHOや主要諸外国ではサル痘への適用が承認されている国もあります。 多くの場合軽症で自然に回復しますが、肺炎や敗血症などの合併症を引き起こすことがあり、年齢が低いほど重症化する可能性があるとされています。
ただ、今回広がっているサル痘では様相が異なっています。
WHOによりますと、今回の感染拡大では感染が確認された人の多くが男性で、そのほとんどが男性どうしでの性的接触で起きているということです。
サル痘は、一般にネズミやリスなど感染した動物にかまれたり、血液や体液、発疹に触れたりすることで感染するとされています。
感染した人の発疹や体液、かさぶた、患者が使った寝具や衣類などに接触したり、近い距離で飛まつを浴びたりすることで、誰もが感染する可能性があると指摘されています。
元国立感染症研究所の獣医科学部長で「サル痘」を研究してきた岡山理科大学の森川茂 教授
A.人から人への感染がここまで広がったことは初めてで、多くの国に感染が広がり、患者数の増加に歯止めがかかっておらず、国際的な協力体制がないと対応が難しくなっていて、異常事態であるのは間違いありません。
アフリカ以外では死亡者はおらず重症者が少ないことと、医療従事者や重症化しやすいとされる子どもや妊婦、免疫状態が悪い人への感染が非常に限定的だということから、緊急委員会の中では深刻度はそこまで高くないと考える人もいたようです。