ガラス
建築など寿命の長い用途にはほかに代わるもののない材料
紫外線による経年変化がない
ガラスは組成に炭素を含まない無機材料
表面硬度が高い
透明
Claude 3.5 Sonnet.icon無機材料が紫外線の影響を受けにくい理由
化学結合の強さ
無機材料は主にイオン結合や共有結合で構成されており、これらの結合エネルギーは非常に強い
ガラスの主な化学結合は以下の2種類の結合が混在しています:
Si-O間の共有結合が基本骨格を形成
シリコン(Si)と酸素(O)が4面体構造(SiO4\text{SiO}_4SiO4)を形成
結合角度:約109.5度
結合エネルギー:約452 kJ/mol
イオン結合 (修飾酸化物との結合)
ナトリウムイオン やカルシウムイオンと酸素イオン間のイオン結合
これらの修飾酸化物(Na2O, CaOなど)がネットワーク構造を修飾
ガラスの特徴的な構造:
不規則なネットワーク構造
結晶のような周期的な規則性を持たない
$ \rm{SiO_4}四面体が不規則につながった3次元網目構造
この構造が「アモルファス」と呼ばれる状態を作る
組成例(一般的なソーダ石灰ガラスの場合):
$ \rm{SiO}_2(シリカ): 約70-75%
$ \rm{Na_2O}(ソーダ): 約12-15%
$ \rm{CaO}(石灰): 約10-15%
紫外線のエネルギー(約3-12 eV)では、これらの強固な結合を切断するのが困難
例:Si-O結合のエネルギーは約4.5 eVで、通常の紫外線では切断されにくい
電子構造
無機材料の価電子帯と伝導帯のバンドギャップが大きい
例:SiO2のバンドギャップ≈9 eV\text{SiO}_2\text{のバンドギャップ} \approx 9\text{ eV}SiO2のバンドギャップ≈9 eV
この大きなバンドギャップにより、通常の紫外線では電子励起が起こりにくい
結晶構造の安定性
規則的で密な結晶構造を持つ
原子やイオンが強く結びついた3次元的なネットワーク構造
この構造的安定性が紫外線による影響を軽減
対照的に、有機材料が紫外線で劣化しやすい理由:
C-C、C-H等の比較的弱い共有結合で構成
結合エネルギーが低い(約3-4 eV程度)
紫外線により容易に結合が切断される
ただし、以下の点に注意が必要です:
全ての無機材料が完全に紫外線の影響を受けないわけではない
極端に強い紫外線や長期暴露では、徐々に影響を受ける可能性がある
無機材料の純度や製造方法によっても耐性は変化する
これらの特性により、無機材料は太陽光に長期間さらされる用途(建材、塗料の顔料など)に適しています。