ウェスターマーク効果
エドワード・ウェスターマークは1891年の同著で、元々イギリスのハヴロック・エリスが性科学的な立場から幼少期から慣れ親しんだ相手に対して性的興奮が起こりにくい、としていたことを引き合いに出しつつ、このような現象の起こる理由は近親者同士の性的嫌悪にこそあり、この発展形が族外婚の規律であると主張した
具体的には、ウェスターマークの仮説は以下の2つから成る
幼少の頃からきわめて親密に育った人々の間には、性交に対する生得的な嫌悪が存在する(ウェスターマークの仮説I)
自分が近親者と性交することに対して生得的な嫌悪を感じることから、第三者がそうすることにも不快感を覚え、これを非難したくなる。さらに、非難が習慣化・規則化され禁忌が成立する(ウェスターマークの仮説II)
批判
自然に避けるなら規則で忌避する必要はない
同時代に精神分析学を創始したジークムント・フロイトは『Totem and Taboo』(1913)で「近親相姦を避ける傾向が備わっているなら何故タブー視して抑制せねばならないのか」と批判した。 人は近親相姦を願望しているという立場をとるジェームズ・フレイザーは「法は、人々がしたいと思う行為のみを禁じている。自然が禁止し、処罰している行為を法が禁止し、処罰することは、不必要である」としてこの仮説を非難した