アメリカのインフレ
Money Isn’t Everything - Paul KrugmanMoney Isn’t Everything - Paul Krugman
インフレは『マネーの量だけ』で説明できない。粗雑な貨幣主義(vulgar monetarism)は誤りで、供給ショック・価格の硬直性・関税などが重要だ」
粗雑な貨幣主義とは:インフレは通貨供給量だけで決まる、という単純化した考え方。
Bessent の主張(要約):関税で一部の物価が上がっても、金を増やさなければ全体のインフレにはならない、という論法。
クルーグマンの反論(簡単に):部分的な値上がりでも波及し得る。供給が減り価格が硬直していると、金の量が変わらなくても広い範囲で物価が上がる。
2021–23年のインフレについて:単に「Fedが金を刷ったから」だけでは説明できない。パンデミック由来の供給制約やサプライチェーンの混乱、需要側の変化も大きく寄与した。
価格の硬直性(sticky prices)とは:店や企業は毎日価格を細かく変えない。だから一部のコスト上昇が他の価格にも伝わりやすい。
関税の効果:単純な消費税とは違い、サプライチェーンの入力価格(部品・原料)を上げるため、製造業全体のコストを押し上げ、広範な物価上昇を引き起こす可能性がある。
診断が間違うと政策も間違う:インフレの原因を貨幣だけに求めると、中央銀行攻撃や不適切な緊縮策で問題を悪化させるリスクがある。
政治的帰結:インフレ原因を単純化して「責任はFed」などと主張すると、中央銀行の独立性を侵害する口実になり得るとクルーグマンは警告している。
2023年06月15日 米FRB、約1年半ぶりに政策金利据え置きも年内の再引き上げを示唆(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
金利は2022年3月から異例のペースで引き上げられてきたが、5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が減速したことなどから(2023年6月14日記事参照)、今回はいったん様子見となった。
2023年6月14日 アメリカ消費者物価指数 前年比4.0%上昇 インフレは低下傾向 | NHK | 物価高騰
上昇率が縮小した要因としては去年高騰していたガソリン価格が落ち着き前の年の同じ月に比べて19.7%下落したことや、中古車の価格が4.2%下がったことがあげられます。
一方、輸送費が10.2%、外食が8.3%上昇するなど人手不足が続く業種では賃金の上昇分を価格に転嫁する動きが収まっていないことも確認されました。
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