「国家への服従規範」は国家の目的次第で暴力も秩序も同じ強さで増幅する
1994年ルワンダ虐殺の暴力の強さは、「直前の扇動」だけでなく、**100年以上前に国家に組み込まれた歴史(前植民地国家の早期形成)によって強く規定されていた。
著者:Leander Heldring
Published: 19 June 2020
重要ポイント
歴史的国家形成の効果
前植民地国家に早く組み込まれた村ほど、1994年虐殺時の暴力が約2倍多い。
効果は相関ではなく、因果と主張。
因果推定の方法
初期首都ニャンザ(Nyanza)への距離を操作変数(IV)として使用。
「国家支配への近さ=早期統合」の外生的変動を利用。
平時・反乱期との対照
国家が平和を追求・反政府勢力と戦う局面では、早期国家地域ほど暴力は少ない。
⇒ 国家の「方針」によって、同じ歴史的遺産が暴力抑制にも動員にも使われる。
メカニズム(なぜ効くか)
ラボ実験(歴史的境界を跨ぐ比較)で、国家早期地域ほど命令への服従傾向が高いことを確認。
異質性
国家の存在感が強い場所ほど効果が大きい。
中央集権・行政動員が届く地域で、歴史効果が増幅。
政策含意
暴力は「貧困」や「民族差」だけでは説明不足。
国家能力×歴史的規範×当局の選択の組み合わせが決定的。
強い国家は、平和にも大量暴力にもなり得る。
倫理的に不快だが重要な示唆
「秩序・服従」を育てた制度は、条件次第で大量殺戮の効率装置になり得る。
国家建設は価値中立ではない。