UI
――となると、慣れを超えるいいものを作らない限り、UIは進歩しないのでしょうか?
増井:そうですね。少なくとも従来のものより3倍はよくないとダメでしょう。1.5倍くらいだと違いがわからない。でも、そういう画期的なものはなかなか出てこないんですよね。それは我々も含め、研究者やエンジニアの頭が悪いからできないんです。でも、現状のものがベストなわけがないですから、新しくてよいものを誰かが思いつけば、すぐに普及する可能性はあると思っています。
増井:おしゃれのレベルは計測できないからみんな苦労するわけで。計測できないから、20年前の流行りが戻ってくるようなこともある。今は板みたいなスマホを指でいろいろやることがおしゃれだと思われていますが、10年経ったらどう言われているかわかりません
増井:今やろうとしていることを近視眼的に見てはいけなくて、「そもそも何がやりたかったんだっけ」を考えるべきです。でもそれはなかなか難しいわけですね。例えば、メーカーのデザイナーは「テレビのリモコンをデザインしろ」とか言われるでしょうが、「そもそもテレビって何なのか考えろ」とは言われないわけです。
だから、本当はちょっと関係ない人が考えるほうがいいんじゃないかと思います。私なんかは別にテレビを売りたいわけでもなんでもないから、考える暇があるのですが。