SNS
ソーシャルメディア論 行動データが解き明かす人間社会と心理
2025-12-09 America Has Become a Digital Narco-State - Paul Krugman
「アメリカはデジタル麻薬国家になった」という話だ。 ヘロインを合法化して無規制で売れるようにしたら、巨大産業になって政治を買収して規制を潰す、という思考実験を試みよ。「ヘロイン」を「SNS」に置き換えると、それがまさに今のアメリカの現実だとクルーグマンは言う。
SNSの害は既にわかってる。 米国公衆衛生総監(Surgeon General)は2023年に、SNSが子どもや青少年のメンタルヘルスに深刻な悪影響を与えているという報告書を出している。メタ社も自社の内部研究でInstagramが10代の女子に有害だと把握していながら、表向きには矮小化してきた。
大人だって被害者だ。 ロイターの報道によれば、メタは年間収益の約10%(約160億ドル)を詐欺広告や違法商品の広告から得ていると社内で試算していた。少なくとも3年間、ユーザーを詐欺に晒し続けていたわけだ。マスクのXはヘイトスピーチの巣窟になっている。
カネで規制を潰した。 「子どものオンライン安全法」KOSAは上院91人の超党派支持という圧倒的な賛成があったのに、ザッカーバーグが金を持ってやってきたら消えた。これが今のアメリカ政治の実態だ。
他の国は違う。 オーストラリアは16歳未満のSNS利用を禁じる法律を制定。EUはデジタルサービス法(DSA)のもとでXに対し初の制裁金(1億2000万ユーロ)を課した。理由は「ブルーチェックが詐欺的」「広告の透明性がない」「公開データを研究者に提供しない」という明確な違反だ。
マスクはブチ切れた。 たったこれだけの軽い制裁に対してマスクは「EUを廃止しろ」と叫び、担当官僚を個人攻撃。ちなみに政府高官への個人的報復を脅す行為、ヨーロッパでは普通に違法なんじゃないかとクルーグマンは指摘する。
アメリカ政府がSNS業界の代理人になっている。 商務長官ラトニックは「ヨーロッパが鉄鋼関税に文句言うなら、デジタル規制を緩めろ」と露骨にリンクさせた。これは国際通商法違反の疑いもあるし、EUが逆をやったらアメリカは主権侵害と激怒するはずだ。法の支配は「弱者のためのもの」になってしまっている。
結論:デジタル麻薬カルテルが国家を乗っ取った。 SNSを規制されるべき危険なドラッグと見れば、アメリカはそのドラッグ王たちが政策を支配し、自国の子どもも守れず、同盟国への外交政策すら操られている「デジタル麻薬国家」に成り下がった。