QTierから単なるHDDになる際の懸念
o3.icon
「4 TB SSDに当面触るデータを集約し、HDDは倉庫」と割り切れば大きなストレスは出ません。Qtier的な自動階層化はなくなるので、プロジェクト切替時に「使う素材をSSDへコピーする」ひと手間だけ意識しておけばOK。逆に常時10 GbEで巨大RAWを直編集したいなら、HDD単体では遅いのでSSDプールかRAID/HDD×複数台を足すほうが安全です。
HDDの生スピード
16 TB級7200 rpm CMRドライブはシーケンシャルで260〜280 MB/s程度 
ランダムIOPSは数百以下でSSDの数百分の1
ネット越しに見た体感
│1 GbE (実効110 MB/s) → HDD側でも帯域が先に詰まる。ほぼ差を感じにくい
│2.5 GbE (≈280 MB/s) → ちょうどHDD1台を使い切るレベル。大ファイル連続読みに限ればストレス小
│10 GbE (≈1000 MB/s) → SSDは3000 MB/sクラスで伸び切る  が、HDDは頭打ち。
→ 編集ソフトがHDDを直参照すると早送り・スクラブで待ちが出やすい
4 TB SSD+16 TB HDD構成でイライラする場面
SSD容量を超えるプロジェクトを丸ごと開く
サムネ生成やキャッシュがHDD側に吐き出される
メディア管理をFinderやPhotos.appに任せ、頻繁に小ファイルを吸い出す
以前のQNAP QTierとの違い
Qtierは「よく使うブロック」を自動でSSD層に移動
macOSは標準でブロック階層化を持たないので、手動で
1) 作業用ライブラリ/キャッシュをSSD
2) アーカイブをHDD
に分ける運用になる
実際どうか—シナリオ別目安
1. アクティブ素材 ≤4 TB
SSDだけで完結、HDDはバックアップ扱い → 体感はほぼSSD
2. 過去素材をHDDからリアルタイム参照 (4K30 ProRes=~100 MB/s/ストリーム)
単一ストリームなら問題なし。マルチカメラ/6K以上は待ち発生
3. DaVinciやFCPのプロキシ運用
プロキシをSSDに置けばHDD性能はほとんど影響しない
ボトルネックを避ける小技
HDDは80 %を超えない(外周→内周で速度が30 %落ちるため)
サムネ&レンダリングキャッシュ用に別途小容量SSDを指定
SMRじゃなくCMRモデルを選択(ランダム書き込み低下を回避)
Time Machine/Backblazeなど重いバックアップは深夜スケジュール
HDDに細かなファイルをおくことは、「検索ヒットまでの時間」を気にしているならHDDでも問題なし。「サムネを大量にプレビューして中身を次々確認する」作業が多い場合だけSSDやQTierが効きます。
Spotlightの初回インデックス: 10 万ファイルで数十分〜数時間。これはSSDが速いが、一度済めば以後は差が小さい。
サムネイル生成(Quick Look)はファイルを実際に読みに行くので、画像大量プレビューを高速でスクロールする場合だけSSDが有利。
ただし書類系(DOCX, TXT, Markdown)は数十〜数百 KBなので差は小さい。