金権政治
2021年のアメリカでは、1万2000人のロビイストが連邦レベルでの政策に影響を与えるために37億ドルを費やしたという。
この影響があまりに強いため、アメリカの権力ピラミッドの頂点に位置するのは企業コミュニティーだといわれる。
これについては政治学者マーティン・ギレンズによる興味深い研究がある。この研究では1981年から2002年のあいだの政策に関する2000件近いデータセットを収取し、政策変更と世論調査の結果を照合し、政策変更と政策に対する貧困層(所得分布下位10%)と典型層(分布の中央値)、富裕層(上位10%)の好みを区別した。
その結果、実際に貧困層の好みは政策変更になんら影響を与えていなかったという(もちろん、貧困層と富裕層で政策の好みが一致することもあるとかいろいろと注釈は必要な研究だが)
驚くべきは、平均的な有権者からの影響さえなかったという点だ。影響力はゼロ、皆無だ。
驚くべきことに感じない。なぜなら平均的な有権者の声が直接届けられる場所はないため
そして直接届けられたとしても利害関係が間接的すぎるので軽視されるだろう
変化の方向をおもに動かしたのは、富裕層の政策選好だった。くわえて利益団体からの影響も大きく、なかでも強力なのは業界系ロビー団体だった。*2
金権政治体制が維持されていれば、超富裕層向けの政策が優遇され富豪の富そのものも人数も増え、大衆の貧困化を悪化させ、エリートの過剰生産を増大させる。そしてこれこそが、今アメリカの状況を悪化させている要因なのだ。