法医学は軽視されている
監視官は3倍に増やした
司法解剖が必要かどうかを決める
1人に3時間かかる
警察から強い効率化を求められている
しかし早ければ誤診の確率が上がり冤罪の可能性も上がる 全国の大学に法医学者は150人
2割が女性
数が少ないので県に1人しかいないこともある
異常死は年間20万人。うち原因不明は1万人。これを見る必要がある
コストは警察が払う
普段仕事をしている捜査機関に歯向かうことになるので、証言をためらった
しかし最後は自然科学に誠実にありたいと考えた
年間250体を解剖する
最終的には捜査機関が決める
法医学者の立場の危うさを感じた事件 1996 首なし女性死体
警察はクビシメだと思った
岩瀬はそうではないと結論を出した
警察は殺人にしたかった
死体遺棄なのか殺人なのか
別の法医学者 権威の石山にも警察は鑑定を依頼した。石山は肺の一部が膨張してるから首締めとした
しかし岩瀬は、石山の判断は科学的根拠がないと感じた
科学的にここまでは言えない
その後頭部が発見され、同居人がバットを殴ったと犯行を自白した
首締めではなかった
警察が都合の良い結論を出してくれるようにセカンドオピニオンするのは今でも時々ある
警察は裁判に勝ちたいと表だっては言わない(真実追求が目的)が、明らかに勝ちに執着している
法医学は脆弱であり、警察に利用されがち
栃木県 小学一年女児失踪事件、茨城県で刺殺死体が見つかった
9年後にナイフ収集が趣味の勝又拓哉が逮捕された
犯行を自白したが、裁判前に無実を訴えた
物証が乏しい中、自白の信用性が主要な争点となった。 1審 宇都宮地裁
争点
遺体の発見現場で殺害
死亡推定時刻は4時
胃の中に残留物があるので法医学的には4時間
弁護団 給食は午後1時だから午後5時に殺されている。勝又の証言は15時間後だ
検察 「どーなの?」
岩瀬「わからない。食後の時間はあてにならない。伸びる時はある」
地下鉄サリン事件の1年前に食べたものが残る
弁護士「わかんないなら法医学なんか不要では」
岩瀬「わからないときはわからないと言わなければならない」
ドラえもんではない
他の法医学者がわからないのに自分はわかるとすると、依頼が殺到する
弁護団 解剖の結果1Lの血がないが、警察の写真には血がなかった
警察 ルミノール反応ある写真がある
岩瀬は写真から血液の量がわかるか問われたが、「血液だとすればそれなりに広い範囲にちっているように見える」
裁判所は「血液だとすれば」を盛り込まなかった
岩瀬「裁判所は発言を都合よく編集する」
大事なのは科学性であり、そこがブレると何をやってるのかわからなくなる世界
3人目 吉田謙一
岩瀬の先代教授
弁護側の証人を依頼された
東大退官後に弁護側の依頼を受けるようになると、検察から「弁護側の法医学者」と扱われる
解剖の依頼が止まったのが辛かった
発見現場で殺されたかの1審判決の検証
自白通りなら広い範囲で
血痕学の世界的権威のドイツの先生に聞いてみたが、血溜まりがなく、一番大きな血痕量で数mLだと返答があった
本物の血液を利用して斜面に巻く実験をした
検察は血液が土に染みるとした
検証では1日経っても染み込まなかった
落ち葉を集めてルミノール検査薬をまいたところ、全体がそれなりに光り始めた
落ち葉には酸化鉄が含まれていて反応して光る
岩瀬が「本当に血液なら」と留保していた点
警察の提出写真に疑問を抱いた
実験した警察官は自分がやっていることをわかっているはずだ
裁判長と検察官のやりとり
裁判長「訴因を変更するか?」
変更とした
検察官「検討します」
殺害現場を林道から県内に大幅に変更
殺害時刻も大きな幅を持たせる変更
2審判決 無期懲役
裁判長「山林は殺害現場とは言えないが、虚偽の自白の可能性がある。しかし殺害の自白は有効」
吉田「事実より自白が重んじられた。裁判は事実認定の場であるはずだが、海外基準で見れば中世レベルである。法医学は全く無視されている」
この裁判は最高裁で無期懲役が確定している
4人目 小林雅彦
ホノルル
全米屈指の法医学者
東大法医学教室卒
部下に医者2人と捜査官11人が常駐。24時間体制
捜査官は捜査権がある
警察とは異なる
警察は犯人逮捕、メディカルイグザミナーに必要な情報を集める。自殺か他殺かに興味がある。犯人に興味はない
解剖するかは警察ではなく法医学者が決める
世界的スタンダードになりつつある
現場に立ち会うことができる
日本ではあり得ない
警察が遺体に手を出すことはできない
現場の遺体を見ることができるが、動かしてもいけない
死因を決めるのは監察医の役割
凶器の特定はしたことがない。頼まれたこともない
どういう凶器かは聞かれる
ナイフで矛盾がないかとか
ナイフの種類は難しい
死亡推定時刻は科学的根拠が薄いと考えている
裁判に頻繁に出席する
弁護士から鑑定書以上の内容を聞いてきたので全て回答した
検察側の監察医からも情報を得ることができる
検察側の証人だが、検察のいうことにyesを答える立場ではない
殺人専門検事へのインタビュー
監察医は中立で客観的な専門家。自分のために働くわけじゃなく小林は中立。そこが日本とは違うかもしれない。
能動的に情報を集められる
千葉大 岩瀬は警察から受け入れを増やすことを要求されている
NPOを作ったが限界だった
2023年の12月 県警の1課がきて1-2週間待ちになっているので東京の別大学と契約すると言われている
「安くて早い」ことを求める警察
岩瀬「早くすると我々のレベルが落ちる」
一部効率化して受け入れを増やすことにした
9000人の医学部卒のうち法医学者は数人
目の前が真っ暗になっている
岩瀬は10年前から寝られなくなっている
「冤罪が増える、犯罪の見逃しが増える、それを実感する日がいつかくるかもしれない」
基素.icon
日本の課題は警察が法医学者に発注している枠組みだ
発注者が警察なのだから、警察には次のインセンティブがある
事実を都合よく解釈したい・都合のいい結論が欲しい
検察は真実を知りたいと言いつつ、実際には自分たちが信じる犯人を有罪にするのに全力を挙げる。裁判は裁判長の心証を稼ぐゲームなので、弁護側・検察側共に科学的な誠実さを自分たちのストーリーに当てはめたい。
早くて安い法医学が欲しい
これは合理的ではあるが、品質が伴わなければ有害
検察は「裁判で自分たちのストーリーに合う結論を出すかどうか」で選びたい。品質の良し悪しは関係ない。
品質は犠牲になるので冤罪の確率は上昇する
品質は確保した上で安くて早いを求めるのは重要だが、法医学者は150人しかいないそうだし革新的な世界ではないだろう
ホノルルのように、事実だけに興味がある独立した第三者機関にするべきだろう
岩瀬先生が直面している課題は構造問題だ
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