政府債務残高の実務上の使い分け
from 高市自民党総裁
純債務残高とはなにか?
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純債務残高(Net debt)は国際的な基準(IMFやOECD)で定義されることが多く、「ネット債務残高」とほぼ同じ概念。
ただし、日本の政府資料では「ネット債務残高」と「純債務残高」を文脈によって使い分ける場合があり、
「ネット債務残高」=一般会計・特別会計などを含めた広い範囲
「純債務残高」=国・地方などセクター別に整理した指標
として扱われることがある
日本の財務省などの「実務」では、以下のように明確に区別されている。
1. 国の債務残高(Gross Debt)
政府が発行した国債や借入金など、返済義務のある負債の総額。
金融資産は差し引かない。
いわゆる「国の借金○○兆円」という数字はこれ。
2. ネット債務残高(Net Debt)
上の「債務残高」から、政府が保有する金融資産(貸付金、預金、有価証券など)を差し引いたもの。
つまり、国が持っている資産を考慮した“正味の負債”。
財務省が国際比較で使うことが多い(OECD方式)。
3. 純債務残高(General Government Net Debt)
ネット債務残高をさらに中央政府+地方政府+社会保障基金を合算した、「一般政府」全体の正味債務。
IMFやOECDの「対GDP比」で比較されるときはこれ。
日本政府が「先進国中最悪」と言われるときの数字はこの「純債務残高」。
要するに:
「ネット債務残高」=国(中央政府)の正味負債
「純債務残高」=国+地方+年金などを合わせた正味負債(=一般政府ベース)
具体的な数字で説明する。
(仮の例)
【前提】
・中央政府(国)
負債:1000兆円
金融資産:300兆円
・地方政府
負債:200兆円
金融資産:100兆円
・社会保障基金(年金など)
金融資産:200兆円(負債ほぼなし)
このとき:
1. 国の債務残高(Gross Debt)
= 1000兆円(金融資産を引かない)
2. ネット債務残高(中央政府ベース)
= 1000兆円 − 300兆円 = 700兆円
3. 純債務残高(一般政府ベース)
=(中央政府+地方政府)の負債合計 −(中央政府+地方政府+社会保障基金)の金融資産合計
=(1000+200)−(300+100+200)
= 1200 − 600 = 600兆円
つまり:
・「ネット債務残高」は国だけ見た数字 → 700兆円
・「純債務残高」は国+地方+年金など含めた一般政府全体 → 600兆円
したがって「純債務残高」のほうが広い範囲を集計するため、通常はネット債務残高より小さくなる。
(年金基金などが資産を多く持っているから)