気合インターフェースの提案
インタフェースにおいても気合が必要な場面が多々存在する。
メールを送信する前にto、cc、ccb、件名、本文をいちいち指差しとともに「よし」と何回も声に出して確認することは面倒に思う行為ではあるものの、自分自身にとって大切なメールほど誰もがすることであり、結果的にミスが減少する。この時私たちは「よし」と発声することで自分自身に気合を入れ、操作を実行しているといって過言ではないだろう。
また、インタフェースでは多くの場合で何かしらを削除する際に、「本当に削除してもよろしいですか」というポップアップとともにチェックボックスにチェックを入れさせたり、削除するファイルの名前自体をわざわざ入力させたりすることで、不本意なファイルの削除を防止している。これらの操作も面倒ながらも、間違って重要なファイルの削除をしないために最後の操作の前には小さく「よし」と言ってから気合いを入れて行うような操作であるといえるだろう。
これらのようにインタフェースにおいても面倒な操作とともに確認し、気合を以ってミスを減らそうとする場面は多々ある。
こういった一見面倒とは思うような操作でも、無意識に気合を入れて操作に集中させるようなインターフェースはさらに活用されてもいいはずである。
私たちは必ずミスしてはいけない場面が存在する。その場面で自然に私たちを集中させるために便利さよりも気合を入れて集中することを大事にするべきであると考える。
よって本研究では、既存のインターフェース研究の使いやすさを重視しすぎているという特徴を受け、気合が必要だと思われる操作の際にユーザーに気合を入れる気合いインタフェースを提案する。
1.概要
気合いインターフェースとは、操作者が目的の操作を実行する際、ユーザーに気合が十分に入っている状況を作り出し、目的の操作を実行可能とするインターフェースである。
気合が入っている状況とはどのような時か、それは発声によって作り出される。
気合いインターフェースによるこのような操作は一見面倒と思われるかもしれないが、従来の使いやすさを重視したインターフェースにおける意図しない操作ミスを防止することが可能になる。
2.新規性
インタフェースの研究では、「使いやすさ」を重視したインターフェースの開発や提案を行なっているものが主流の中で、本研究の気合インターフェースでは使いやすさの陰に隠れたユーザーの集中力の低下という問題に対して、ユーザー自身の力で、気合で乗り越えることができるようにサポートし、ミスを減少させることができると考える。
また、気合を入れるための手法として「発声」することに大きく着目した。どんなスポーツでも日常でも集中力を高める際やいざ行動を起こすための力として発声することは脳に刺激を与え、集中力が向上することに繋がっており、インターフェースにおいても発声を応用することができると考えた。この点を気合インターフェースの機能として提案する。
3.類似例
気合インターフェースの類似例として挙げられるのが、現在では古いものとして扱われているオープンリール式テープレコーダーや手動の裁断機などである。これらは現在では電子化や自動化によって見ることは少ないかもしれないが、非常に操作が複雑で両手をうまく使わなければ録音できなかったり、気合を入れて力を込めなければ裁断できなかったりと使う際に気合がなければ絶対に操作できなかったものである。
これらのように強烈に面倒だと感じる動きの大きな操作は、ユーザーである私たちの気合をより強く高めてくれる。
そのため指で様々な操作を実行できるが故に気合が不足している現代と、今では簡単になった操作でも様々な手順を踏み、両手や身体全部の力と気合があってようやく目的の操作を実行することができた数十年前では、明らかに後者の方が気合に満ちているといえるだろう。
https://gyazo.com/e7ccab3ac97a222c85182397d1538a97