書評メモ
よくありそうな項目 : レビュータイトル、星、概要
kyon_mm
レビュータイトル : アジャイル開発入門に最良の2冊目
星 : 5つ
概要 : 本書はアジャイル開発のポータルとも言える入門書である。アジャイル開発に入門する際の2冊目に選びたい書籍だ。1冊目にはアジャイルの全体を理解するための書籍を読み、2冊目にはこのような具体的なプラクティスのエントリーポイントとなっている書籍がよいだろう。
本書で紹介されているプラクティスは著者が大量のアジャイル実践者とコミュニケーションをとりながら「うまくいくことが実証されているプラクティスに焦点を合わせている」のが特徴だ。そのため、300人以上のソフトウェアリーダーから10000件をこえるレビューコメントをもらいながら完成したようである。
本書で特徴的なのは各種プラクティスに取り組むときの道標となるような「推奨リーダーシップアクション」の「検査」と「適応」という項目が各章末にあることだ。いわゆる演習問題のようなものではあるが、アジャイル開発を10年弱やってきた私にとっても非常に示唆的であり、机上で自分のマインドセットを再確認させてもらえるようなものであった。プラクティスを押し付けるのではなく、その導入や定着自体をアジャイルにすすめるとはどういうことなのかを改めて考えさせてくれる。これはアジャイルを導入するときに陥りがちな問題をうまく回避するための道標としてうまく機能するだろう。
またこのことから読書会もしやすい。実際に私はオンラインで多様な意見を聞くことができた。
一方でこれだけの良書においてもいくつか留意点がある。
1. 出版されたのが2020年ではあるが時期の関係からスクラムガイド2020は反映されていないこと。
2. 14章にあるストーリーマッピングは一般的なユーザーストーリーマップとは異なっていること。
とくに2は異なっているといえば優しい方で、もしレビュアーとして関わっていたら「間違っている」と指摘するレベルである。が、これは読者として受け取るのであれば、本書がポータルのようなものであるという前提にたつと、ユーザーストーリーマッピングを自身で調べたり、オライリー社からでている「ユーザーストーリーマップ」を購入したりすることになるので、まぁ一部間違ったことをかいているという前提にたてばそんなに問題にはならない。が、誰も明確に書いていないのでここに記す。
タイトル : アジャイル初心者から上級者まで幅広い層に勧められるアジャイル本
星 : 5つ
概要 : 内容が具体性に富んでいる上に参考文献やレビューコメントが豊富であり、アジャイルを現場で実践する上で大きな手助けとなる本。アジャイルの文脈では具体的な言及が避けられがちな面(規制産業におけるアジャイルや品質周りなど...)に詳細に触れられているのも、個人的には非常に好感が持てる。
章末には、自身の経験と紐付けながら章に記載されている内容の理解を深めることができる「推奨リーダーシップアクション」が掲載されているため、自身が現場で実践していく上での手がかりを掴めるのは勿論、複数人で読書会を開くことでアジャイルに対する理解を多人数で深めていくにも向いている。(「推奨リーダーシップアクション」では、章の内容に関連した幾つかの問いが作者から投げかけられている。この問いは、章の内容を覚えているかの確認に留まる質問ではなく、自身の経験や現場の様子に照らし合わせながらの回答が求められるものである)
作者がスクラムを強く推している節がある点や、主張にやや過激な部分がある点は好みが分かれるかもしれないが、すっきりとした訳の力もあって非常に読みやすく、初心者から上級者まで幅広い層に勧められる本。
Sig
星:5つ
感想
以前購入して読みかけだったものを読書会への参加で再開し読了
実務ではシーケンシャル開発で進めていること、アジャイルに対する知識不足により、アジャイルの全体的な話の1冊目としては若干ハードルが高かった。(読書会の中で経験者の方から疑問に答えて頂けて大変助かった)
まずは一人でやれるところから始めていくために、紹介されているプラクティスを一部でも取り入れていく方針で検討中(要求関連、テスト、デリバリー等)
各章末のリーダーシップアクションに取り組むことで理解度の確認や疑問の整理ができる点がよかった(読書会への参加のため、他の方からのアドバイスや事例が聞けた点が更によかったと感じた)