食べ物の話
アイドルのトークで定番のトピックに食べ物の話がある。ブログでもSNSでもライブのMCでも頻繁に食べ物の話をする。
とにかく身近で共感しやすく、扱いやすいトピックなんだろう。地方公演では各地の名物に言及する。それが地方客へのファンサービスというかマナーになっているようなところがある。
道重さゆみの好物として毎度挙がるのは肉である。
「今、『いきなりステーキ』が恋人で」
(スポニチアネックス2018年7月14日)
見出しにしやすいコメントはいつも得意だ。
肉と恋の組み合わせはヤン・シュヴァンクマイエルの「肉片の恋」(1989年)を連想させる。
肉の日(2/9)があるからカレンダー写真の2月を焼肉の写真にしたり、インスタライブでマクドナルドを食べたり、「最後の晩餐で食べたいのは肉です」とも言っていたし、歌詞にもなってる。
(R) 楽しちゃおうゃ
(O) お肉おいしすぎちゃって
(C) 超明日はむくみを楽しんで
(K) 決してセーブはせん
―道重さゆみ「ばりかわよかROCK」(作詞:しばたありぼぼ、作曲:こやまたくや、編曲:大久保薫、2023年)
楽曲提供を受けているアイドルは一般的に音楽と人格を切り離して見られるけど、当て書きも多いしその度合いによっては分かち難くなってくる。道重さゆみの場合はソロ以降、特に大森靖子やしばたありぼぼなどファンが制作に関わる曲の歌詞はパーソナライズが甚だしく、当人にしか歌えない内容になっている。短歌でいうところの私性を他者がガチで代筆している感じ……と言って伝わるだろうか。
活動復帰後の道重さゆみに再び目を向けた当時、ヴィーガンに移行していた私にはただ葛藤が強すぎた。そのためにいったん離脱したけれど、結局また戻ってきた。この人が肉で嬉々としている様子を見るたび認知的不協和が生じるのは変わらないけど、この人が素晴らしいパフォーマーであることにもまた変わりはない。
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日本でヴィーガン食というとファッション、ヘルス、SDGsみたいな企業のイメージ戦略が先行して、ないよりはいいけどもっと低価格帯が増えたほうがいい。精進料理もプラントベースだけど、もとは修行の素食だったのが資本主義にかかると和食の高級なジャンルになるから皮肉だ。宗教色の濃いアジア圏だと菜食対応はデフォで格安の大衆食堂があって、ああいうのでいいからと思う。
洒落てなくていいのはハロプロのTシャツもそういうことで、クールハローとか手抜きスタイリッシュなデザインにしても信者には需要がないどころか不評を買う。 *
https://scrapbox.io/files/669e1a064639a3001cc1c710.jpg
ネプリに使わなかったパフェとケーキのシール
シールに動物性原料が含まれているからじゃなくて、ほとんど乳や卵を避けられないパフェやケーキへの欲望を徒に刺激したくなかったからだ。ネプリはコンビニで出力される。ついでにスイーツを手に取りたくなればたやすい。
まぁ少しずつ状況は変わってきている。ファミマは今月から植物性由来のチーズケーキとか出してるようで、気になってる。