09
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今日の内容
タンパク質 の 機能
クイズ / 質問 / コメント
必ずアクセスすること!
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タンパク質の機能
タンパク質のはたらき
https://gyazo.com/43266d568b545dec2530d4c30125438f
東京書籍「生物」
酵素
酵素とは?
生体内外で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子
酵素反応の仕組み
https://youtu.be/yk14dOOvwMk?si=lL0ij3OTgz2qBMVW
酵素(カタラーゼ)の反応
https://youtu.be/3PYdMaClUmw?si=TQr6R16jdt0DaG1E
リガンド
生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質
リガンドには、基質(Subltrate; S)、阻害剤(Inhibitor; I)、神経伝達物質などがある
結合の強さは結合親和性と呼ばれる
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Mohini@山本研 et al, PeerJ (2021)
タンパク質とリガンドの相互作用
タンパク質(P)とリガンド(L)が複合体(P・L)を形成する可逆的な過程は、次のように表すことができる。
$ \mathrm{P + L \rightleftharpoons P \cdot L}
P と L との結合の強さ(親和性)は、解離反応($ \mathrm{P \cdot L \rightleftharpoons P + L})に対する、解離定数 $ K_\mathrm{d} で表す。
$ K_\mathrm{d} = \mathrm{\frac{[P][L]}{[P \cdot L]}}
$ \mathrm{[P]} :タンパク質の濃度($ \mathrm{mol \; L^{-1}})
$ \mathrm{[L]} :リガンドの濃度($ \mathrm{mol \; L^{-1}})
$ \mathrm{[P \cdot L]} :複合体の濃度($ \mathrm{mol \; L^{-1}})
クイズ1
あるタンパク質(P)に結合するリガンド(L)があり、P と L は 1:1 で結合して複合体 P・L を形成し、解離反応($ \mathrm{P \cdot L \rightleftharpoons P + L})に対する解離定数 $ K_\mathrm{d} で $ 1 \; \mathrm{\mu M} = 1 \times 10^{-6} \; \mathrm{M} とする。タンパク質(P)が$ 1 \; \mathrm{\mu M} の濃度で存在しているところに、ある濃度のリガンド(L)を添加すると、平衡状態において P と L が結合した複合体の割合は、P 全体の 20% となった。この実験で、添加したリガンド濃度の値を求めよ。
クイズ1のヒント
平衡状態において解離しているリガンドの濃度 $ \mathrm{[L]} を$ x と置いて整理すると..
解離している L の濃度
$ \mathrm{[L]} = x
P 全体の濃度
$ \mathrm{[P]_{tot} = [P] + [P \cdot L] = 1.0 \; \mu M}
P・L 複合体の濃度
$ \mathrm{[P \cdot L] = [P]_{tot} \times 0.2}
解離している P の濃度
$ \mathrm{[P] = [P]_{tot} - [P \cdot L] = [P]_{tot} - [P]_{tot} \times 0.2 = [P]_{tot} \times 0.8}
P と L の解離定数
$ K_\mathrm{d} = \mathrm{\frac{[P][L]}{[P \cdot L]} = 1.0 \; \mu M}
添加したリガンドの濃度は
$ \mathrm{[L]_{tot} = [L] + [P \cdot L]} = x \; + \mathrm{[P]_{tot} \times 0.2}
クイズ1の答え
_ $ \mathrm{0.125} \; \mu M _ $ \mathrm{0.250} \; \mu M _ $ \mathrm{0.325} \; \mu M x $ \mathrm{0.450} \; \mu M _ $ \mathrm{0.525} \; \mu M 解離定数とギブス自由エネルギー変化
解離定数 $ K_\mathrm{d}は、解離反応($ \mathrm{P \cdot L \rightleftharpoons P + L})におけるギブス自由エネルギー変化 $ \Delta Gを用いて、次のように表すことができる。
$ \Delta G = -RT \ln K_\mathrm{d}
$ R:気体定数($ = k_\mathrm{B} N_\mathrm{A} = 8.314\,462 \; \mathrm{J \; K^{-1} \; mol^{-1}})
$ \Delta Gの大きさは、リガンド(L)とタンパク質(P)の「結合親和性(binding affinity)」を表す
クイズ2
タンパク質(P)とリガンド(L)について、300 K での解離定数 $ K_\mathrm{d} が 2 $ \mathrm{\mu M}であった。このときの解離反応($ \mathrm{P \cdot L \rightleftharpoons P + L})に対する自由エネルギー変化 $ \Delta Gの値を答えよ。ただし、気体定数の値は $ R = 8.314\,462 \; \mathrm{J \; K^{-1} \; mol^{-1}} とする。
クイズ2の答え
結合親和性はどのように測定するか?
等温滴定型カロリメトリー(ITC)を用いた結合親和性の測定
https://youtu.be/XkAWFslcxDM?si=blg94iWhdJnWv4RU
酵素による活性化エネルギーの変化
酵素(Enzyme; E)は、一般的に、中性の pH、常温という温和な条件ではたらく
酵素は、基質(Substrate; S)に対して高い親和性で結合し、酵素・基質複合体(E・S)を形成する
酵素は、反応に必要となる活性化エネルギー $ \Delta G^{\ddagger}を低下させることで、反応を促進する。
https://gyazo.com/6954ef12f48070f8e9bf7c313780de89
酵素反応の解析例①:インフルエンザウイルスの増殖過程に関わる酵素反応
https://youtu.be/kSLRmj0APZw?si=882hNwOFaNRJeY7f
酵素反応の解析例①:インフルエンザウイルスの増殖過程に関わる酵素反応
https://gyazo.com/c44569de5cd40782dda967817567d86b
鹿草@山本研, 日本生物物理学会(2024)
酵素反応の解析例①:インフルエンザウイルスの増殖過程に関わる酵素反応
https://gyazo.com/91bd68108e2a1043b41b1814e889ce31
鹿草@山本研, 日本生物物理学会(2024)
酵素反応の解析例①:インフルエンザウイルスの増殖過程に関わる酵素反応
https://gyazo.com/555a14f5b62d8bc020e3559b1588e0dd
https://gyazo.com/e02f4967f074dde621c7381050e21f33
鹿草@山本研, 日本生物物理学会(2024)
酵素反応の解析例②:筋繊維の運動に関わる酵素反応
https://gyazo.com/67e448c6baa6db2bfc0dd9ba56f594a6
https://gyazo.com/e6d73da0d926fc65dc82913173016385
東京書籍「生物」
酵素反応の解析例②:筋繊維の運動に関わる酵素反応
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酵素反応の解析例②:筋繊維の運動に関わる酵素反応
https://gyazo.com/16416294c0d70d3e9108749988e7292e
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冨永@山本研, 日本生物物理学会(2024)
酵素反応の解析例②:筋繊維の運動に関わる酵素反応
https://gyazo.com/60bea156a122420bf71c9e2c6b04a9fa
冨永@山本研, 日本生物物理学会(2024)
酵素反応の反応速度
反応速度定数 $ kと活性化(自由)エネルギー $ \Delta G^{\ddagger}の関係は、アレニウス(Arrhenius)の式に基づくと、次のように表すことができる。
$ k = A \exp\left(-\frac{\Delta G^{\ddagger}}{RT}\right)
$ A:頻度因子(前指数因子)
$ R:気体定数($ = k_\mathrm{B} N_\mathrm{A} = 8.314\,462\,618\,153\,24 \; \mathrm{J \; K^{-1} \; mol^{-1}})
クイズ3
ある反応について、酵素がある場合、酵素がない場合と比較して、活性化エネルギー $ \Delta G^{\ddagger}が $ 2 \; \mathrm{kJ \;mol^{-1}}低下する。この場合、300 K では、酵素の触媒作用によって、反応速度はどのように変化するか。
クイズ3のヒント
酵素なしの場合の反応速度定数 $ k_\mathrm{non}と酵素ありの場合の速度定数$ k_\mathrm{enz}について、両者の比は次のように表すことができる:
$ \frac{k_\mathrm{enz}}{k_\mathrm{non}} = \exp\left(-\frac{\Delta\Delta G^{\ddagger}}{RT}\right)
$ \Delta\Delta G^{\ddagger} = \Delta G^{\ddagger}_\mathrm{enz} - \Delta G^{\ddagger}_\mathrm{non}
クイズ3の答え
ミカエリス・メンテンの式
ある酵素(E)について、基質(S)が反応して生成物(P)を生成することを考える。このときの反応式は次のように表すことができる。
$ \mathrm{E + S \rightleftharpoons E \cdot S \overset{\mathit{k}_{cat}}{\longrightarrow} E + P}
$ k_\mathrm{kat}:ターンオーバー数
酵素・基質複合体(E・S) から生成物(P)が生成される素反応に対する「見かけの速度定数」
酵素反応の速度$ vは、次に示すミカエリス・メンテン式で表すことができる。
$ v = \frac{V_\mathrm{max}[S]}{K_\mathrm{M} + [S]}
$ V_\mathrm{max} :基質濃度$ \mathrm{[S]} が無限大となったときの理論的な最高反応速度
$ K_\mathrm{M}:ミカエリス定数
酵素からの基質解離の平衡定数
$ K_\mathrm{M} = \frac{[E][S]}{[E \cdot S]}
基質濃度$ \mathrm{[P]} が $ K_\mathrm{M}と等しいとき、反応速度 $ vは理論的な最高反応速度$ V_\mathrm{max}の半分になる
$ v = \frac{1}{2} V_\mathrm{max} if $ [S] = K_\mathrm{M}
https://gyazo.com/bc961bf9fd909291914711ce50367c14
クイズ4
ある酵素反応について、ミカエリス定数が $ K_\mathrm{M} = 2 mM であることが分かっている。この酵素反応において、基質を添加していくと、反応速度 $ v は下のグラフに示すように増加した。反応速度 $ v が最大反応速度 $ V_\mathrm{max} の 98% に到達したとき、基質濃度 $ [P] の大きさはどの程度になっているか。
https://gyazo.com/f1d52a0b3a4ad8f7f0f984dfb6ddf774
クイズ4のヒント
反応速度 $ v が最大反応速度 $ V_\mathrm{max}の 98% になるので...
$ v = 0.98 V_\mathrm{max}
ミカエリス・メンテン式は...
$ v = \frac{V_\mathrm{max}[S]}{K_\mathrm{M} + [S]}
クイズ4の答え