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https://scrapbox.io/files/6563d8ecc5eab6001c8784b0.png
今回の内容
薬 を 設計 しよう(前編)
創薬の歴史(紀元前〜19世紀)
現代の創薬
クイズ / 質問 / コメント
必ずアクセスすること!
➡ 課題(クイズなど)への回答は、成績評価の対象となります
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創薬の歴史(紀元前〜19世紀)
古代ギリシア
紀元前4世紀頃、ギリシアのヒポクラテスはヤナギの樹皮を水で煮だしたものに沈痛効果があることを発見した。
https://gyazo.com/c8704dc1d4c1923e833e4ca040e28006
クイズ
ヒポクラテスが沈痛作用を発見した樹皮はどの植物から採れるか?
https://gyazo.com/92aa71e87dada1ff0d745015ade0feb7 https://gyazo.com/e8453aa0ccd1b623a4df144eee2b6bd2 https://gyazo.com/383a85da6e5cc0293d8be96003234565
古代ギリシア
紀元前4世紀頃、ギリシアのヒポクラテスはヤナギの樹皮を水で煮だしたものに沈痛効果があることを発見した。
https://gyazo.com/c8704dc1d4c1923e833e4ca040e28006 https://gyazo.com/04b8b7482a43b03996796d6f4a8f2a7b https://gyazo.com/8bb4df8a04a385263ee1d6514a04bf6f
古代中国
古代中国においても、歯が痛むときにはヤナギの小枝で歯の間をこすって痛み止めとしていた
https://gyazo.com/2bd67bc8057db4120b2a2f2fb321a043 https://gyazo.com/dc539a98b0679e048e80507112ab2d17
化合物A
19世紀頃、化学者達は ヤナギ樹皮 の抽出物から解熱・鎮痛作用をもつ化合物Aを分離した。
https://gyazo.com/63e8a87e2c5f1648399fac1108c3a92a
化合物Aは発熱・炎症などの治療に使われが、激しい胃痛という副作用があった
https://gyazo.com/29c6ec3c89e4d6547ef3341abc37144e
クイズ
ヤナギの樹皮から抽出された解熱・鎮痛作用をもつ化合物Aとは何か?
化合物A ➡ 化合物B
そこで、ドイツの製薬会社(=バイエル)に勤めていたホフマンは、化合物Aの副作用を抑えるための改良に取りかかった。
https://gyazo.com/d332c86a69dcac307811f8f2704d464d
ホフマンは化合物Aを改良して、薬理作用を保持したままで胃への刺激という副作用を少なくした新たな化合物Bを作ることに成功した。
https://gyazo.com/89cba0e5f36501660215fb702cd7a0f2
化合物B
化合物Bは熱や頭痛などを抑えるための飲み薬(解熱鎮痛剤)として広く用いられている。
https://gyazo.com/5b221dc85997e3be4ff06c349c1873c2
化合物Bの合成
https://scrapbox.io/files/653da41992b93d001b20b823.mp4
動画へのアクセスは授業のみに制限
クイズ
化合物Aを修飾したもので、熱や頭痛などを抑える飲み薬となる化合物Bとは何か?
化合物A ➡ 化合物C
化合物Aの化学構造の一部を変えた化合物Cは、筋肉痛などを和らげるための塗り薬(消炎鎮痛用塗布薬)として用いられている。
https://gyazo.com/717c3cc44f4d690a0e42c4ba0324d73f
化合物Cの合成
https://scrapbox.io/files/653da566f2d4f1001b8458e8.mp4
動画へのアクセスは授業のみに制限
クイズ
化合物Aを修飾したもので、筋肉痛を和らげる塗り薬となる化合物Cとは何か?
解熱・鎮痛剤の作用メカニズム
炎症を起こす原因はシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素が作るプロスタグランジン(PG)である。
https://gyazo.com/6d2c3f7574f47707850ed394340ab44b
プロスタグランジン(PG)は、痛み増強、発熱、子宮筋の収縮など、多彩な生理作用を示す。
https://gyazo.com/afcbd1532804d0109f8e4f4fa7caedf6
化合物B(アセチルサリチル酸)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)のセリン残基をアセチル化することで、プロスタグランジン(PG)の産生を抑制する。
https://gyazo.com/f26168c78e4ca03d18c3a74c12f267a7
解熱・鎮痛剤
化合物B(アセチルサリチル酸)を含む「飲み薬」
https://gyazo.com/b0dcda2d93e5c3f006bc8b33c29ba6cd
化合物C(サリチル酸メチル)を含む「貼り薬」
https://gyazo.com/8d8dbe9edcb1841768637eea762bdd68
医薬品の研究・開発を支える化学
身の回りにある様々な医薬品を研究・開発する現場を支えているのは化学の知識や技術である。
https://gyazo.com/83c6a4fb1d13bc5125b4b8a9d6f06db9
医薬品の研究・開発で活かされる化学の知識や技術
https://gyazo.com/fb43501a6fba84dce3a2113d8eef9dc4
現代の創薬
クイズ
新しい薬を作ろうとするとき、研究をはじめてから販売までに、どのくらいの時間がかかる?
クイズ
新しい薬を作ろうとするとき、研究をはじめてから販売までに、どのくらいの費用がかかる?
クイズ
2012年はじめから2016年末までの5年間に、日本の製薬企業が創出した新しい薬は何個か?
医薬品開発のみちのり(バイエル)
https://youtu.be/MsbfMPwHUeU?si=Xjk0zUroRM5ASe_z
創薬の現状
https://gyazo.com/6667f072b3dc8494069e7a915f9abe1e
創薬シミュレーションが最先端医療を変える
https://youtu.be/DI0ZPf4ahGk?si=EBeMsJcgppvxxW0L
分子シミュレーション手法の比較
https://gyazo.com/4de55b9d707c79158245d1f908545fb6
孤立分子 ➡ 量子化学計算
固体物理
生体分子
【応用事例】食品成分(リコピン 🍅)の trans → cis 異性化を促進したい
抗酸化作用などの生理活性をもつ食品成分の体内吸収を高めるための加工技術の確立を目指した研究
Gaussian を用いた量子化学計算
https://gyazo.com/84c251e60a9a9d9eeb71ddc2a807c97d
https://gyazo.com/6b1cd074ab2225a2ac3d0b11b7486e23
宮川@山本研, 分子科学討論会 (2023)
【応用事例】色素材料の円偏向性を制御したい
凝集誘起発光特性をもつ三脚巴状分子の「らせん反転運動」を制御することで円偏光性を向上させる分子設計を目指した研究
Gaussian を用いた量子化学計算 + Matlantis を用いた分子動力学計算
https://gyazo.com/e23ca93fd21e4bb92b9e7671dfa9d84c
https://gyazo.com/599f6514b065d5694402512301bd2e68
大場@山本研, 分子科学討論会 (2023)
【応用事例】金属有機構造体 MOF でゲスト分子がどのように拡散するのか
温室効果ガスである二酸化炭素を効率的に分離回収するための機能性多孔質材料の分子設計を目指した研究
LAMMPS を用いた分子動力学シミュレーション
https://gyazo.com/c5d457492844fea35ecca6b1152e74c5
井上@山本研, 日本コンピュータ化学会(2023)
【応用事例】結晶多形を振動スペクトルで見分ける
分子性結晶の構造多形を振動スペクトルで見分けることで効率的な品質管理を目指した研究
Quantum Espresso を用いた第一原理分子動力学シミュレーション
https://gyazo.com/707a1f02e3588843dd5b74e8d3408537 https://gyazo.com/4fd67a5a3962e915c0cd10e1dcdddbbd
https://gyazo.com/7c73f8dab6b4f621a2a8ff043a2cd130https://gyazo.com/5d4566bc2ab7d177e39c89c37edc099d
https://gyazo.com/2856c129d532d28ecf76bc2969f3f604 https://gyazo.com/4f407938cb8724110cf4dfd9ae03451a
山本@山本研, 論文準備中
【応用事例】インフルエンザウイルスの薬剤耐性化はどのようにおこるのか
インフルエンザウイルスに薬が効かなくなってしまう「薬剤耐性」の問題を克服した新しい治療薬の分子設計を目指した研究
Amber を用いた分子動力学シミュレーション
https://gyazo.com/28406ac07980e525221bf2a2e861c2fe
Mohini@山本研 et al, PeerJ (2021)
クイズ
次に示すような「新しい薬を開発するケース」について、「量子化学計算」を用いることが適切だと思われるものをすべて選べ。
x 新しい薬を設計するときに、薬物候補化合物として有力だと思われる幾つかの分子を合成するための準備として、合成経路の素反応のひとつについて、対応する遷移状態のエネルギーを知りたい。 x 新しい薬を設計するときに、薬物候補化合物として有力だと思われる幾つかの分子について、分子内でどのような電荷分布になっているのか知りたい。 _ 新しい薬を設計するときに、100万個の化合物データベースの中から、薬物候補化合物としてふさわしい分子を1000個選びたい。 x 新しい薬を設計するときに、薬物候補化合物として有力だと思われる幾つかの分子の赤外吸収スペクトルについて、それぞれのピークがどのような振動モードに由来するのかを調べたい。 _ 新しい薬を設計するときに、薬物候補化合物として有力だと思われる幾つかの分子について、どのような結晶構造になっているのかを予測したい。