本を読む本
#2021.09 #趣味の読書
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本を読む、ということをその意義から書籍の種類別の読書法まで詳細に解説した本。
本を読むという行為そのものが割と好きな質なので、何気なく読書してきたけど、「なるほどたしかに」と思わされる部分が非常に多かった。
特に「著者の意見に対して賛成か反対か立場を明確にして批判する」というのはあまり意識してやってこなかった。実際に最近読む本と言えば、技術書の類が多くてあまり教養書に分類されるものを読んでいないというのもある。
ただ、振り返ってみると著者の意見に対して全面的に賛成!!と思いながら読んでることは意外と少なくて、ある部分では賛成である部分では反対もしくは分からない、という態度でいることが多かったようには思う。いずれにしても明確に根拠が述べられるほどではないので、この本で述べられているような読書体験はできていなかったことだけは確かだな。
読書法に興味があって手にとったものであったが、実は個人的に唸ったのは「小説、戯曲、詩の読み方」の項と訳者あとがきの項だった。小説の読み方そのものというよりは、小説(物語)の何が良いのか、というのが言語化されているところに感銘を受けた。訳者の外山氏の「日本人の読書」というあとがきは素晴らしかった。特定の宗教がない日本において、若者の読書が宗教の役割を担っているという考察はなるほどなぁと唸ってしまった。長らく日本では実用的読書の類よりも人間がいかにして生きるかという精神性を伴う読書が重んじられていたというのも納得。そしてそれは源氏物語の時代以降脈々と続いてきた短編小説の発達や日本の文化的背景とあいまって、ロジカルな文章構造の発達やロジカルな読書方法の発達をある意味阻害してきたという考察。なんかこのあとがきだけで、すごいものを見てしまったなぁという感じ。