日報2022-08-08
のらぼう菜
https://gyazo.com/9554395d54493c326403a8aa6f0a49fb
店頭の目立つところに陳列されていたので、こんな本がなぜ?と驚いて思わず購入した
のらぼう菜というのは春先のシーズンに出回っていたローカル野菜で、食べてみたらけっこう美味しかったので気になっていた
この本屋は著者の地元地域で、のらぼう菜の栽培が盛んなところだからっぽかった
ちなみに焼肉屋は「孤独のグルメ Season5」に出てくる店
https://gyazo.com/4e889badfc53a03e8c0db4dc25771d6f
稲城市では地元農家が直売会を毎週やっているので、ちょくちょく買いに行ってる
ここで3月~5月くらいにかけてのらぼう菜が売られていた
ただしスーパーでも地元野菜コーナーがあるし、直売だからといって別にそんなに安いわけでもない
でもスーパーにはあまり売ってないものもある。のらぼう菜はその一つ
あと無人販売所もところどころにあるけど、近所にはあまり無い。見かけてもだいたい売り切れてる
https://gyazo.com/1957e2b60327591c7d4c0408f2895fb3
右端の野菜がのらぼう菜。茎が太い葉物野菜
これをさっと茹でておひたしにするとやたら美味しかった。春って感じがする
小松菜やほうれん草に比べてクセが全く無く、太い茎がやわらかくて甘いのが特徴
https://gyazo.com/c462a0ba84d9cdf8091dd04c62374b54
調べてみると松本英子氏の『局地的王道食』という漫画で、のらぼう菜にハマった作者が3回も取り上げて描いていた
https://gyazo.com/50bf3893b54a89fddba9636923a2f655
のらぼう菜は多摩のローカル野菜ということしか知らなかったけど、この方はあきる野市(西多摩)、朝霞市(埼玉)、川崎市多摩区まで足を運んで買いに行っていた
稲城市は川崎市多摩区と接していて多摩川沿いなので、同様に栽培されているようだ
冒頭ののらぼう菜の本の内容に戻ると、店頭では「88歳の著者が書いた88ページの本」というコピーで紹介されていた
人生の締めくくりとして書いたそうだけど、実際に出版した年の暮れに亡くなったらしい
https://gyazo.com/c2c674e0dd3cf154c7e8bcfdcfa75c15
本を読むと、のらぼう菜は主に種から油を取るためにかなり昔(鎌倉時代からとも?)から自家用に栽培されていたらしく、近年油の需要が無くなって食用になってきたようだ
主な産地は西多摩のあきる野市、埼玉の比企郡、神奈川の小田原市、そして川崎市あたり
2000年頃から各地域でのらぼう菜を栽培する会が結成されたとのことなので、けっこう最近の話だから今後はもっと栽培地域が広がったり流通するかもしれない
遺伝子的には埼玉、あきる野、小田原は共通するが、川崎のものは別らしい
著者が地元贔屓なのかもしれないけど、あきる野市と交流を始めて農業試験場で比較研究したところ、収穫量・糖分・その他の成分で川崎の品種のほうが勝っていたらしい
著者の経歴について
1932年生まれ。戦後、教師になろうと教員免許まで取ったが親に農業を継いでくれと言われ17歳で農業に専念
ARuFaも教師の道に進まなかったのでなんか親近感ある
最初は梨栽培をしていたが台風被害を受けたので日銭の入る農業に転向
時代的に食生活の改善が求められるようになって養鶏をやり始めて成功したが、1964年に卵価格の暴落が始まったり畜舎のにおいや騒音に近隣から苦情が来るようになったので廃業
40代で花木などの園芸栽培を行うようになり20年
バブル後には花木が売れなくなってきたので農家で持ち寄って野菜の即売を開始。そこであちこちの農家から自家栽培していたのらぼう菜が出され規模が拡大して今に至る
農業、ぜんぜん体験として馴染みがないけど、こうしていろいろな転機のある事業のピボット話として捉えると興味深いなと思う
Stardew Valleyみたいな農業ゲームやってても、世の中の需要の変化とか土地を売ったりとか事業を変えるような大きな変化は無い(別にそこは求められてない)
一部のwebエンジニアはFlashの死という転機があったりした
のらぼう菜の本、サブタイトルにもあるようにこの方が考案した太茎・多収になる育て方のノウハウが書いてある
一般的には伸びてきた先の方を収穫していたようだけど、収量を伸ばすための工夫として根元付近まで深く摘心してしまうのが良いらしい
そうすると根元近くの太い茎から新しく太いわき芽が生えてくる
これにより太い茎を何度も収穫できるらしい
https://gyazo.com/8cc873a0a91a66eb5f987ed17a538a96
適当に上の方から切り取って食べていた
たぶん春菊も同様に根元まで摘むのがいいのかもしれない