月報2023-03後半
『ロシュフォールの恋人たち』を繰り返し観る
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最近『ロシュフォールの恋人たち』を何度も繰り返し観てる。1967年のフランスミュージカル映画
10年前くらいに『シェルブールの雨傘』とセットでリマスター上映された際に初めて観てだいぶ印象深かった
登場人物の服装だけでなくロケ地の建物までもがパステルカラーに着色され、狂気とも思えるほどの色使いで街全体が浮かれている映画
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今はサブスクで観れるので改めて何度も観るようになった
陳腐な言い方だけど観るたびに発見があるように感じられるので、もっと深掘りしたくなった。映画ってこれだけでいいんじゃないかという気持ちまである
いい映画でもそんなに何度も観たいと思わないけど、本作は楽曲の流れや色遣いによって強烈にリードしてくれるところがある
一つの映画を繰り返し観る行為、プペルを80回観たりガルパンを100回観たりプリティ・ウーマンを400回観たりする人がいるという話は聞いていたけど最近そういう気持ちも分かってきた気がする
現代的なタイパに逆行する反逆行為。いったいこれはなんなのか
ミュージカル映画なのでサントラを聴くだけでもだいぶ本編の体験に近い
特にこのサントラは映画版の音源そのまま切り出したような感じでセリフも入ってるし、本編部分だけで1時間23分ある。映画が2時間3分なので、かなりの割合を歌が占めてる
『ラ・ラ・ランド』だとサントラが42分に対し映画が2時間8分
ストーリー進行的に金曜にキャラバンがやってきて、土曜に準備、日曜に祭りが行われ、月曜に旅立つという話なので直線的な流れで消化しやすさがある
フランス語はとにかく聴いていて気持ちが良いので作業中にずっと流しやすい
本作や『ラ・ポワント・クールト』で改めてヌーヴェルヴァーグっていいなと思ったので、もっとちゃんと資料的に読み解きたいなと思っていろいろと書籍を買ったりした
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5,60年代から半世紀以上経ち、当時の人達が80代90代になって続々と亡くなって特集が組まれたりするので改めて振り返るには良いタイミングなのかもしれない
これだけでなく、本作のルーツの一つとなるジーン・ケリーやフレッド・アステアのハリウッド黄金期ミュージカルや、ジャック・ドゥミやアニエス・ヴァルダの作品なども一通り観ていかないとなーという気持ちになる。けどまだまだ消化できない
このへんの50年以上も前のコンテキスト、詳しい知り合いが居るわけでもないし体系的に学んだこともなく、ただ気になったところをちょっとずつ掘ってるだけだから自分なりに理解していっても根本的なところで分かってないことも多い。本作の監督であるジャック・ドゥミとアニエス・ヴァルダが夫婦だというのも後から知ってそうなんだってなった
たぶん2050年くらいに『エヴァンゲリオン』と『ハッピーマニア』を見た人が、このどっちもアンノって人たち夫婦なの?って驚くようなものなんじゃないかという気がする。当時に生きていれば当然知っているような状況が伝聞でしか分からない
Bill Evansが演奏してた「You Must Believe In Spring」という曲は聞き覚えあったのに、ロシュフォールの「マクサンスの歌」が原曲になっているということも調べるまでずっと知らなかった
You Must Believe In Spring
La Chanson de Maxence
https://www.youtube.com/watch?v=atgHEhyJAnw
改題されて歌詞も全然異なるものになっているけど、歌詞の内容的にはロシュフォールの「夏の日の歌」に近いような感じがした
https://www.youtube.com/watch?v=BAjmtZ7VA7I
この曲の歌詞的に、夏が終わり、祭りも終わり、いよいよ映画も終わりを迎える(ゆえに盛り上げよう)という感じになるのでなんだかとても好き
前述のブログ記事では楽曲についていろいろ解説されていた
中でも最も注目すべきは 2017年にリリースされた ③仏盤 5枚組セットでしょう。
これにはオリジナル仏語ヴァージョン・コンプリート全23曲、米・英・オランダ・カナダなどで発売された英語ヴァージョン “The Young Girls Of Rochefort” (英PHILIPS SBL-7792 は驚くほど音が良い )17曲、オーケストラによるインストゥルメンタル・ヴァージョン “La Version Orchestrale du tous les thèmes du film Les Demoiselles de Rochefort” (仏PHILIPS 842 147PY )12曲、オーケストラル・プレイバック集(実質カラオケ )12曲、ルグランによる語りとピアノの弾き語りによる 別メロディをつけた6曲の試作(貴重 ! )、ジーン・ケリーにデモ・テープとして渡されたルグラン歌唱による未発表デモ 2曲(「アンディの歌 」、「恋するアンディ 」)、さらに ビル・エヴァンスやバド・シャンク、フィル・ウッズ、ジョゼ・バルテルやナタリー・デセイなどなど、古今の代表的カヴァー演奏16曲が選ばれており、資料音源としても最強でしょう
https://gyazo.com/b78a3e7588c7668d41e86175129dd73f
今の時代CDを聴くことはもう無いと思ってたけど、50周年記念のフランス盤の音源は配信されてなかったので購入した
調べてたら舞台版の動画もあった。この公演は2003年のものらしい
https://www.youtube.com/watch?v=mM_gEGc31_o
いろいろ現代的になって違うところはあるし知らない新曲も多いけど面白い
https://gyazo.com/b41e4b73832aac70ba659ef71ea7fd72
オープニングが絵を描いてる「マクサンスの歌」から始まるの良い
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運搬橋をバックに登場するキャラバンの人たち。まるでマッドマックスみたいになってて面食らったけど、これはこれでアクロバティックでかっこいい
映画版より明確にキャラバンと水兵の集団が対立する構図があるので、白い水兵とはカラーやキャラクターを変えたのかなという感じはする
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ドールハウスみたいな部屋から出てくる姉妹もいい
https://gyazo.com/b3adae6f3f244138b934fe3973a42b58
画商ギョームがいかにも自信家で高慢でへこたれないキャラになってるのもなんかとても良さを感じる
ここの曲は映画だと男性側が一言喋ったら女性側が早口で100倍くらい返すような歌なのでめちゃくちゃ面白い
https://youtu.be/7Zqcb0zLgvM?t=84
マジで3言しか喋れてないのがいい
舞台版だと男性側もそれなりに言い返してる
https://www.youtube.com/watch?v=3pL3KdYGzog
この曲のイントロの街中シーンもとても良い
なんとなくビョークの『It's Oh So Quiet』のMVが似てる気がしてたけど比べてみたら曲調が違いすぎた
最後に通せんぼするところが『ラ・ラ・ランド』のエピローグ思い出す
https://gyazo.com/b57ed3028e10c52dc1ad890c329edea8
カフェの常連でおじいさんの戦友のデュトル氏、この二人の歌は映画には無かったけど意外にも劇中で一番感動的なシーンになっててよかった(祭りの前夜のカフェのシーンにはほんとは歌がある予定だったとどっかで読んだ気がするので、これがそうだったのかもしれない)
https://gyazo.com/fde48e9f7ef6fec4dbf8837ae561f0c6
ジーン・ケリーのタップダンスシーン。配役が若い人になっててフレッシュ
https://gyazo.com/0995c5da919e9d447fb87bec515e22f1
バイクに乗せて周回する「夏の日の歌」のお祭り感、良いものだ…
アニエス・ヴァルダによるドキュメンタリー
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と『七夕の国』と『明日のアー』と新喜劇
https://gyazo.com/b316cb508d843034ea7217ab890be288
大北:普段『明日のアー』がやってることがマジ新喜劇なんじゃないかって思い始めて。
『揺れる大地』
https://gyazo.com/962206cc1a232b65a9e667061ff12bbb
1948年のイタリア映画。ヴィスコンティ監督
戦後イタリアのネオレアリズモ映画
有名なネオレアリズモ映画だと以前観た『自転車泥棒』が良かったのと、3月末でアマプラで配信終了してしまうので観てみた
『自転車泥棒』は90分くらいで観やすかったけど、こちらは160分と長い
長い映画は最近は割り切ってテレビドラマだと思って分割して観るようにしてる。これは30分毎に区切ると全5回の連続ドラマという感じで観れる
もっとも、『蟹工船』は集団的、組織的な漁民(労働者)の抵抗だったのに対し、本作でウントーニが見せる仲買人への抵抗はあくまで個人レベルで、階級闘争には至っていない
『蟹工船』を書いた小林多喜二は、小説を書きながら日本共産党員として活動する中で「治安維持法違反」によって逮捕され、拷問の末に死亡した。しかし、ウントーニはイタリア共産党員として非合法的な党の活動に従事したわけではなく、一介の漁師として仲買人に抵抗しただけ。
ネオレアリズモ、お話的には要は蟹工船みたいなもんなのかなというざっくりした認識だけど、この話的には組織的な階級闘争ではない
また、視点を変えて考えればいくらネオリアリズモを追及するとはいえ、映画監督としては階級闘争よりも、その中で人間がいかに生きていくのか?という点に興味を持っていたはずだ
この点がやっぱいいなと感じる
『ラ・ポワント・クールト』でも漁村が描かれる
https://gyazo.com/e9499ca5806cf736584e8f2278abd526
労働者の死亡率、林業と漁業がワーストというのが貧しさや過酷さを感じさせる
『ラ・ポワント・クールト』
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アニエス・ヴァルダの処女作。1955年
ヌーヴェルヴァーグ映画を初めて観たときみたいなフレッシュさを感じたけど、まさにこのヴァルダがヌーヴェルヴァーグの先駆けだったらしい
偶然板東
https://gyazo.com/c59b852226c5dd9e01331afc240af6f7
CSSとJavaScriptで作られている。GPT-4に指示してコードを出してもらった。プログラム歴0年でもこれくらいなら出来ちゃうのはかなり嬉しい。表現の幅が広がる。
偶然板東、なんとなくずっと見てしまう。細胞分裂みたいな面白さがある。
AI周りいろいろもてはやされてるけど、恐山さんのこういう壁の越え方はいいなと思った
https://gyazo.com/15b9e201f43eb191c69a4d8da0fcada7
スクリプト内容はこのくらいの分量だけど、今まで知識がなければ全く作ることができないものだった
逆に知識のあるエンジニアが板東英二というワードを並べようとすることもなかった
特にこちらの点に良さを感じる