集合論
集合論(しゅうごうろん、英: set theory, 仏: théorie des ensembles, 独: Mengenlehre)は、集合とよばれる数学的対象をあつかう数学理論である。 数学に与えた影響
集合論以前の数学は、数であるとか方程式であるとかあらかじめ与えられた数学的対象の性質を研究する、という性格が強いものだった。
集合論以降は
問題にしている数学的な現象をよく反映するような「構造」を積極的に記号論理によって定義し、
その構造を持つ集合について何がいえるかを調べる、
という考え方が優勢になった。
とくに20世紀に入ってからの抽象代数学や位相空間論では様々な新しい数学的対象が集合の道具立てを用いて積極的に構成され、研究された。このパラダイムはニコラ・ブルバキによる「数学原論」においてその頂点に達したと見なされている。 一方で、さまざまな数学の問題に対応した構造を理解するときには、個々の対象が具体的にどんな集合として定義されたかということよりも、類似の構造を持つほかの数学的対象との関係性の方がしばしば重要になる。
この関係性は対象間の写像のうちで「構造を保つ」ようなもの
(しばしば準同型と呼ばれる)によって定式化される。
集合論の著しい特徴は集合間の写像たちまでが再び集合として実現できることだが、こういった性質を圏論的に定式化することで集合論の圏論化・幾何化ともいうべきトポスの概念がえられる。