5.1.1 ガイド:テイラーとファヨールを理解する
#LeSS本
初期のマネジメント
マネジメントは発明された概念である。初期に作られたものが現代にも当てはまるとは限らない。
初期のマネジメントにおいて重要な影響力をもつ人物は、フレデリック・テイラーとアンリ・ファヨールの 2 名である
テイラー: 機械工学者で、労働者の生産性に興味関心が深い
ファヨール: フランスの鉱山技師で 19 歳で大規模なフランス鉱業グループに入社。在籍し続けて経営責任者に就任した
フレデリック・テイラーの導入した 2 つの概念
唯一で最善の仕事のやり方が存在する。一度発見した「ベストプラクティス」は組織全体に適用すべきである。
計画と改善作業は通常の作業とは分けるべきである。計画と改善作業には高等教育が必要で、通常の作業は無教養な人でも実施可能である。
「計画と知的労働を、できるだけ単純労働と分けることで、生産性コストが下がることに、疑問の余地はありません」
ファヨールが作ったもの
分業、権威、指揮の統一、命令系統を含む 14 の管理原則を作った
計画、組織化、調整、司令、統制という 5 つのマネージャーの責任を定義した
初期のマネジメントが現代に当てはまっていない例
テイラー「低学歴の労働力の生産性を最大化したい」
今日のプロダクトの開発者は高度に教育されており、計画と改善の分離は多くのオーバーヘッドにつながる
ファヨール「コミュニケーションを改善して統一性を高めたい」
当時はフランスから米国への旅行に最大 10 日間かかったことが背景にあり、現代には当てはまらない(通信には数秒しかかからない)
統一性のための広範な階層をつくりコミュニケーションすることは現代には合っていない(時代遅れ)
ベストプラクティスをコピーする
背景なしにコピーするのは良い考えとは言えない
特定の背景におけるグッドプラクティスを共有することは素晴らしいが、ベストプラクティスのコピーは継続的な改善と矛盾する
中央集権的なマネージャーによる計画、調整、司令、統制
組織に統一性やビジョンを創り出すことは素晴らしい
計画と統制を中央管理することは良くない。司令と統制に注力すると、結果的には体系的な改善にあまり注力できなくなる