重ね合わせの原理
線形系一般に成り立つ特徴的な原理。
二つ以上の入力が同時に与えられた時に系が返す応答が、
それぞれの入力が単独に加えられた場合に返される応答の総和となることをいう。
つまり、入力 A に対して応答 X が返され、
入力 B に対して応答 Y が返されるならば、
入力 ( A + B ) に対して返される応答は ( X + Y ) である。
重ね合わせの原理が成り立つためには、加法性および斉次性の二つの性質が必要十分である。以下のような性質を持つ写像(線形写像)はそのような性質を持つものの一つである。
code:tex
{\displaystyle {\begin{aligned}F(x_{1}+x_{2})&=F(x_{1})+F(x_{2})&{\text{: 加 法 性 }}\\F(ax)&=aF(x)&{\text{: 斉 次 性 }}\end{aligned}}}
x, x1, x2は線型空間の要素(ベクトル)であり, a はスカラーである。入力に対して応答を対応付ける写像をFとすれば, 線型系の応答を表す写像は上の2式を満たす。
- **例1**:音楽を聞きながら窓を開けると、外の音も入ってきます。音楽と外の音はそれぞれ独立して存在しますが、耳に届く音は「音楽の音」+「外の音」となります。これが「重ね合わせ」の例です。
- **例2**:電気ストーブとエアコンの両方で部屋を暖めると、それぞれの暖かさが足されて、部屋全体が暖かくなります。
Miyabi.icon合成波
電場や電位でも成り立つ
### 3. **線形系と重ね合わせの原理の関係**
線形系では、「影響が重ね合わせできる」という特徴があります。これは、次のような2つの性質を持つことです。
1. **スケーリング不変性**(比例の法則):
たとえば、音量を2倍にしたいときにスピーカーの出力を2倍にすれば、音量も2倍になります。入力を2倍にすると出力も2倍になる関係が「スケーリング不変性」です。
2. **加法性**(足し算の法則):
もしスピーカーから出る音をもう一台のスピーカーで重ねて出したら、音量は2つのスピーカーの音量を足したものになります。これが加法性です。
これら2つの性質を満たすと、線形系の「重ね合わせの原理」が成り立つことになります。