許可を求めるな、謝罪せよ
これは、言った人ははっきりわかっていて、グレース・ホッパーさんという人です。アメリカ人女性で、海軍の准将だったかな? 偉い人です。 COBOLっていうプログラミング言語……最近あまり名前を聞かなくなりました。まだ動いているところでは動いている。銀行の中とかではまだ使っているらしいんですが、COBOLというプログラミング言語には設計委員会みたいな、CODASYLという委員会があって、そこの委員長が、このグレース・ホッパーさんだったそうです。数学がメッチャできる女性だったそうです。 正確には、グレース・ホッパーさんの言葉は、「許可を求めるより、謝罪するほうが簡単」なんですが、言う時はもうちょっと強めに、「許可を求めるな、謝罪せよ」という言い方になっていますね、ことわざ的には。
さっき、「誠実であれ」と言ったので、なにか新しいプロジェクトをやりたいとなった時、きちんと正式なルートで、マネージャー、あるいは役員に「こんなことをしてもいいですか?」と許可を求めて始めたほうがいいんじゃないかな、と思うかもしれませんが、実は、これはあまり良い方法ではありません。
なぜかというと、正式に聞かれると、(聞かれたほうは)正式に許可しないといけないんですよね。正式に許可する場合、その許可を出した人に対して、うまくいかなかった時のリスクを考えたり、あるいはうまくいかなかった時に、許可を出した人に責任が発生しちゃうんですよね。そうすると、許可を出した上司……マネージャーかもしれないし役員かもしれませんが、その人の負担になっちゃうんですよね。
だいたいチャレンジングなことというのは、100パーセント成功するとは限らないので、「これがもしうまくいかなかったら、僕は、そのまた上司にどうやって説明しよう」みたいな話になるわけです。
それは良くないのでどうするかというと、こっそりやります(笑)。これを「スカンクワーク」という言い方をするらしいです。
スカンクワークをやっておいて、もしそれが失敗しちゃったら、「ごめんなさい」「こんなことをやっていたんですけど、うまくいきませんでした」と上司に謝る。あるいは、上司がそもそも気づかなければ謝る必要さえないんですよね。