【2-2】本メディアの新規性に関して
本メディアにおけるクチコミメディアとしての新規性は主に二つ存在する。
一つ目は、本メディアが不特定多数のインターネットユーザーには開放されていない、という点である。本メディアでは従来のインターネット上の飲食店クチコミサイトとはことなり、ごく少人数の間のみで情報がやりとりされる。従来のメディアではクチコミ数を増やし情報を増やす効率を上げる、また会員収入を増やすといったような営利的目的から、このように極めて小さい規模である類似メディアは存在しない。しかし、上記でも述べたように「独自性欲求が働く」という点により、不特定多数の他者に公開されているという環境が多くの消費者にとってクチコミを抑制する効果を持つのではないかと考え、また、クチコミ重要度を高める三つの要素から、信頼性を高める方向に働かせるべく「ノイズ」や「疑念的態度」を排除するという目的で、人数を一般的なクチコミメディアとしては少人数である6人とした。
二つ目はこのクチコミメディアが親密度の高い被験者で構成されているという点である。再三述べているように、本メディアは被験者同士での「つながり」を重視したメディアである。1987年のBrown & Reingenは、見知らぬ他者が投稿した情報よりも、「接触機会の多い家族や友人という同質性の高い強い関係の方が高い信頼性を持ち、情報の流れを促進し、意思決定過程への影響力が大きい」と述べている。その点を利用し、親密度が高く、強い「つながり」をもつ被験者同士の関係から、より重要性の高い情報をクチコミ投稿者から引き出すことができ、クチコミ(情報の流れ)を促進できると考える。また、親密度の高い関係から既存のメディアの情報で生じる「疑念的態度」が軽減され、被験者にとって本メディア上の情報が既存のメディア上のクチコミよりも信頼度が高まるのではないかと考える。それと同時に重要度の高い情報を秘匿する要因となっている「独自性欲求」が働かない状況下であることで、本メディアにおけるクチコミ重要度がより高まると考えられる。