虚数空間
物理学や数学の分野
虚数の世界ではない
時間軸を虚数化することで時空の記述を統一的に行うため
量子状態を記述するために複素数が必要となるため
数学的な解析を容易にするために実数空間に虚数軸を導入する 現実世界を理解し、予測するためのシミュレーションをより正確にするために用いられる
既存の概念に虚数軸という仮の項目を加えることで拡張された数学的な空間
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ミンコフスキー空間における時間軸の虚数化
特殊相対性理論では、時間と空間を統合した4次元の時空(ミンコフスキー空間)という概念が使われます。この時空において、時間の座標 t を虚数単位 i を用いて ict(c は光速)と表現することがあります。これにより、時空の距離(間隔)を表す式がユークリッド空間の距離の式と似た形になり、数学的な取り扱いが簡潔になるという利点があります。この場合、時間軸が「虚数空間」の一部とみなされることがあります。
量子力学における複素数
量子力学では、粒子の状態を記述する波動関数が複素数で表されます。この複素数の空間(ヒルベルト空間)は、実数だけでなく虚数成分も含むため、ある意味で「虚数空間」と捉えることもできます。ただし、これは空間そのものが虚数であるというよりは、状態を記述する数学的な空間が複素数である、というニュアンスが強いです。
解析接続における虚数座業
複素解析の分野では、実数軸上で定義された関数を複素平面全体に拡張する「解析接続」という操作が行われます。この際、実数の空間に虚数軸を導入することで、より広い範囲で関数を扱うことが可能になります。物理学でも、例えば統計力学で温度を虚数にしたり、量子場の理論で時間を虚数にしたりすることで、実数では解析が困難な問題を解くためのテクニックとして用いられます。この場合も、実空間に虚数座標を導入することで、ある種の「虚数空間」を考えることになります。