20191004 Scrapboxを使ったリフレクション・ペーパーが絶好調!
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これまで,これらの授業では授業のふりかえりを大福帳を使って学生に書かせていた。大福帳は非常に便利なもので,学生たちが授業に対してどんな思いを抱いているか,15回の授業分を一覧できる。また,教員とのやりとりもそのまま残るので,お互いの理解を一層図ることができるのだ。ただ,紙媒体の宿命として,他の学生同士で内容を確認することが難しいのと,比較的厚めの紙に印刷するので,毎回の授業にその紙の束を持ち込まなければならないのが玉に瑕だった。 今期,塩澤一洋先生がリフレクション・ペーパーも含めて全面的にScrapboxに移行した,という記事をブログに書かれた。これを読み,先生に直接質問するなどして,大福帳の機能をScrapboxで実現する見通しがついたので,私もリフレクション・ペーパーをScrapboxを使って書かせることにしたのだ。 第1回の授業が終わった今日,リフレクション・ペーパーをScrapboxに移行した感想として,「これはいい!」というのが第一である。何しろ紙の束を持ち歩かないで済むことが,こんなにも楽なものかということを実感した。今までは授業資料の紙束と大福帳の紙束を用意して授業に臨んでいた。40数名の授業ならまだいいけれど,私は134名の授業を2コマ担当している。この授業のための資料+大福帳の紙束は,持ち運ぶのに大変だったのだ。しかし,その紙束がほとんどなくなった。私が授業に持っていくのはMacBook ProとAppleTVとテキスト類のみである。第1回目の授業はいろいろと説明することがあるので,紙資料も持っては行った。しかし,次回からは紙資料を配らず,学生には私が授業で伝えたことをガンガン書きとらせるつもりである。そうなると,私が持っていくのは本当にデジタル機器のみくらいになる。そして,今までは授業の終わりに学生が大福帳を書き終えるのをずっと待っていて,学生が全員出し終えたのを確認したら,それを番号順に整えて持ち運ぶということをしていた。これが結構時間がかかるのである。それが,Scrapboxで大福帳を書かせると,極端なことを言えば授業時間外に学生が書いても問題はない。よって,授業の終わりは学生にScrapbox大福帳を書く時間を取ってやるだけで,私には時間的な余裕ができた。いやぁ,これはいい!
大福帳をScrapboxで書かせることのもう一つの利点は,学生が書いたリフレクションの内容を次の授業で学生たちに紹介する際に,引用することがとても簡単だということだ。今までの紙媒体でこれをするとしたら,学生の大福帳をいちいちスキャナで読み取り,さらに画像を加工しなければならなかった。それが,Scrapboxで書かせているので,引用はコピペで自由自在である。もっとも,リフレクションの内容を学生に紹介するのは,今までの授業ではあまり行っては来なかった。Scrapboxでリフレクションを書かせたのを契機に,特に言葉指導法Ⅰの授業で取り組んでみたい。
もう一つ期待していることは,学生のリフレクションに対して私がコメントを書いていたのだが,そのコメント書きの手間が軽減されることだ。今までは大福帳の1枚1枚に手書きでコメントを書いていた。これが,パソコン上でキーボードを使ってコメントすることができる。私にとってはこの方法がより早くできる。どれだけ手間が軽減できるか,今後に期待である。
こうしてScrapboxを中心として授業を展開していくと,私の授業形態も今までとは変わってくるように思う。これまで,私は自分が授業で話す内容を事前にかなり作り込み,資料もしっかり準備して授業に臨んでいた。しかし,Scrapboxによって学生のリフレクションを簡単に授業に生かすことができるようになると,せっかくの学生の意見や感想を活用して,話す内容をアドリブでできそうである。授業というものは,おそらくそういうものではないだろうか。授業の時間内で生起することそのものが,学生にとってはまさに本物である。授業以外の時間・場所で用意されたものを予定通りに示されても,それは真実味を失うものになる。そんな用意されたものがあるのなら,さっさとそれを公開して自由に見させてくれよ,と思うのではないだろうか。授業という1回きりの時空間に出席していることの意味は,その時間内に生起することを体験することにある。かけがえのない1回性のものを味わうために,人は授業に出席するのではないだろうか。それならば,教員が話す内容もその時間内で生み出されなければならない。それは,緻密な準備とは対極にある,いや,実際はその準備に支えられた,その場限りのアドリブであるべきではないだろうか。今回のScrapboxへの移行が,私の授業にそんな変化をもたらすとしたら,とても意義深いことだと思う。