20190510 Scrapboxの可能性が見えた…かな
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今日の3限,教養Ⅰ(国語)で,学生たちに新書等のノンフィクションを読ませる授業を展開している。その読んだ本の読書ノートにScrapboxを使わせることにした。授業用のプロジェクトを用意し,招待用のURLを学生にメールを介して送り,授業中にScrapboxに参加させた。そして,Scrapboxの簡単な使い方をレクチャーした後,自分のページを作成させて自己紹介を書かせた。また,今後,新書等を選書させるのに役立つかと思い,今自分が興味・関心を持っていることをブレーンストーミングの要領で列挙させた。これらのページを,お互いに読ませ合ったのである。 Scrapboxの特徴として,他者のページを簡単に閲覧できるということがある。今回は,学生のページのタイトルを学籍番号としたので,友人のページを比較的見つけやすいだろう。また,あまり話さない友人であっても,そのページを見てみようと思うかもしれない。ともあれ,交流ができれば良いと考えて互いに閲覧するようにしたのだ。
授業後の学生の感想として,Scrapboxの機能の良さや共同編集できることの楽しさと注意点を述べる者が多くいたが,意外にも多かったのは「友人の書いた内容が参考になった」,「これからも友人のページを見ていきたい」というものだった。自分のページを他人に読まれることに対して,もっと抵抗感や嫌悪感を示すかもしれないと予測していたが,これは予想外だった。
1つの要因として,自己紹介の項目に好きな本・作家・ジャンルを書かせたことがあるかもしれない。前回の授業ではビブリオバトルを行なったが,好きな本にはそこで紹介した本でも良いことにした。この情報が,学生たちにとっては有用だったらしい。確かに,ビブリオバトルによって面白そうな本を紹介してもらうことはできる。しかし,その範囲はどうしても参加者内,つまりせいぜい5人程度のものだ。自分を除けば3〜4冊くらいしか新しい本の情報は得られないのである。しかし,Scrapboxに好きな本を書かせただけで,「自分の好きな本を書いていた人がいて,気が合うかもしれない。今度話してみたい。」などと感想を述べる者が数人出てきた。Scrapboxを通して本の情報を得るとともに,本を介した人間関係の萌芽が生まれる可能性が示唆されたのである。 そして,彼らの感想からうかがい知れたことは,入学して1ヶ月少しのこの時期では,まだまだ同じ学年の学生同士でも相手がどのような人なのかわからない,ということだ。高校のようにクラスルームがあるわけでもないし,学年内での交流会があるわけでもない。学生の自然発生的な交流に委ねられているわけである。これは確かに,身近で親しくなった者以外と仲良くなることはなかなか難しいことなのだなぁ。
そんな人間関係の進展のためにも,このScrapboxを介した本の交流が役立ってくれればありがたい。学生の中には「これから友人の読書ノートを読むのが楽しみだ」と書いている者がいた。読書ノートもお互いに読み合うことで,交流が進むといい。そのために,こちらはどんな授業デザインをしたら良いか,考えていく楽しみができた。