Vessel
#ぼく #制作物 #音楽 #映像
↓拙作のこの動画についての解説
https://youtu.be/D5jy-395W4Y
タイトルについて
Merriam Webster 英英辞典で vessel の項目を引くと次のように書かれている。
① 容器;(ある性質を含む器としての)人間
② (手漕ぎボートより大きい)船
③ (体内で血管などが通るための)管;維管束
( に記載の語義を日本語訳したもの)
本作のタイトル「Vessel」は主に①と②の意味。
意識を宿した人間の体を vessel という単語を仲介して船に見立てている。
MV で明らかに海じゃないところを移動しているのもそのせい。
ホンダのVEZELとは何の関係もない。
サビのメロディについて
ある日アルバイト先へ移動する電車でボーッと窓の外を眺めていたら,ホルストの組曲「惑星」の「木星」のフレーズが何の脈絡もなく脳内で流れた。そのフレーズというのも,平原綾香さんが「Jupiter」でカバーしたことで有名な中盤のフレーズではなく,以下の動画の 1:00- と 6:00- で演奏されているフレーズである。
一旦このフレーズを思い出した途端,脳内で何度も繰り返されて気になってしまったので,スマホのメモアプリに音名をメモした後,自宅に戻った時にそれを DAW に打ち込んだ。この音程とリズムを少し変えたものが後にサビのメロディの原型となる。
https://youtu.be/ytQfhqWmr9M?t=55
暗号
信号旗
船というテーマに関連して,MV中 1:22- で信号旗を流している。
「信号旗」などでGoogle検索すると「国際信号旗」が検索上位に挙がるが,今回使った信号旗はそれとは異なり,イギリス軍の司令⻑官ポッパムによる "Telegraphic Signals of Marine Vocabulary" に基づく。これについては Wikipedia記事で紹介されているとおり,1805年のトラファルガー海戦で "England confides that every man will do his duty" (英国は各員がその義務を尽くすことを期待する)という文章を送るために使用されたことでも知られている。
その後,信号旗の使用という文脈からは外れるものの,「各員その義務を果たせ」という同様のメッセージは,戦争が起こる度に軍員への激励としてしばしば用いられてきた。
非人道的な武力行使や戦争は無論肯定されるべきではない。しかしもはやそれが他人事で無くなった現在において,むしろ僕はこのメッセージを「危機に瀕している人々に対して何らかの行動を起こすこと・あるいは全世界に向けて平和を訴え続けることについて,我々は各々の責務を果たす必要があり,またそれは軍事的な支援のみならずたとえ些細な行動であっても尊重されるべきである」と読み替えて発信したい。
モールス信号
アウトロで流れているモールス信号は上記の信号旗と全く同じ内容のメッセージを流しているため,いずれか片方が解読できればもう片方も解読できる。よって平文は省略する。
しかし本作中でモールス信号が流れていたのはアウトロだけでなく,0:41- と 2:01- の箇所で注意深く耳を澄ますと,うっすらと SOS 信号が聞こえる。
Launchpadソロ
元々 M4SONIC や Kaskobi, SoNevable などによるLaunchpadパフォーマンスに憧れていたので実際に買ってやってみたけれど,リズムに合わせて打鍵するということが意外にも難しかった。まだまだ修行の必要性を感じる。
動画で使用しているのは Novation 社の Launchpad mini MK3。通常版より一回り小さいため収納や持ち運びでかさばらないが,ボタンどうしの間隔が狭いので指先を少々狭めて演奏しなければならない。
映像はスマホで撮影したが,Launchpad自体の発光量に加えて,環境光やカメラの露出を調節したりと,明るさの調節に地味にコツがいる。Launchpadの発光量やカメラの露出を上げすぎたりするとLaunchpadの光が潰れてしまうが,下げすぎてしまうと絵面が真っ暗になってしまう。
空中遊泳
幼少期から何度かカリフォルニアのディズニーランドに家族旅行で連れて行ってもらったことがあり,その真向かいにあるカリフォルニア・アドベンチャーのアトラクション「ソアリン」が昔から大好きだった。以前まではカリフォルニア州内各所を飛行するという内容(なので当時の正式名称も “Soarin’ over California”)だったが,その後上海ディズニーランドと東京ディズニーシーにも同じアトラクションが展開されたのをキッカケに,世界各地の名所を巡るものへと刷新された。
富士急ハイランドにはまだ行ったことがないけれど,富士急にも「富士飛行社」というよく似たアトラクションがあるらしいので,訪問した折には是非寄ってみたい。
Blender
Blender は大学のCGの講義1コマで少し弄った程度だったので,当時はまだまだ難しいことはできなかった。
そこで,モデリングに技術が不要で時間がかからず,リギングも不要,最低限のアニメーションとカメラ移動だけでそこそこ様になるようなシーンだけを作った。
むしろ今回 Blender の操作で直面した一番大きな壁はレンダリングである。ボカコレ2022春の初日に投稿が間に合わなかったのも,レンダリングにかかる時間の見積りを誤って計画が狂ってしまったせい。以下にレンダリングでつまづいた点を備忘録として残しておく。
ネットの Blender 講座系のサイトの情報が古いバージョン準拠だったため,3.1 に本来必要のないタイルレンダリングを設定してしまい,処理時間が無駄に増えた。
MP4に一括で書き出そうとするとシーン中盤でフリーズしてしまうため,連番PNGに書き出してコンバータで動画化する必要があった。
Google Colab を使うとレンダリングが速くなると話半分に聞いて試してみたら,12時間の時間制限のせいでレンダリング中に接続を切られてしまった。
特にレンダリングに丸一日かかるようなシーンで,上記が原因でレンダリングが失敗してしまい絶望する。
Speak & Spell
Texas Instrumentsが1978年から販売していた英語学習用の玩具。
音素データからの音声合成を可能にするTMC0280 / TMS5100シリーズのICを搭載しており,これはLPC(線形予測符号)を内蔵したICとしては世界初らしい。
映画では『E.T.』に搭乗していたり,『トイ・ストーリー』シリーズのMr.スペルのモデルになっていたりする。
浦上想起の『芸術と治療』『とぼけた顔』でもSpeak & Spellのサンプルが使われている。