サロス周期
#数学 #天文 #資料メモ
223朔望月 = 239近点月 = 242交点月 (= 241恒星月?) とする周期。
蝕が起こる周期
手っ取り早く次の蝕を予測するならば交点月の半分と朔望月の公倍数を求めれば良い(交点月の半分なのは,白道と黄道の交点が軌道に対して昇交点・降交点の2つあるため)。その場合,この2つの月の比を有理数近似することで予測可能。
主近似分数は
$ \frac{2}{1}, \frac{11}{5}, \frac{13}{6},\frac{89}{41}, \frac{102}{47}, \frac{191}{88}, \frac{293}{135}, \frac{484}{223}, \frac{777}{358}, \frac{9031}{4161}, \frac{9808}{4519}, \cdots
table:蝕の発生周期
朔望月 交点月 日数 名称・暦法
6 6.5 177.0
41 44.5 1210.8
47 51 1387.9
88 80.5 2598.7
135 146.5 3986.6 三統暦
(405 = 135x3) (439.5 = 146.5x3) 11959.8 マヤ暦
223 242 6585.3 サロス周期
(669 = 223x3) (726 = 242x3) 19756.0 エクセリグモス周期
358 388.5 10571.9 イネックス周期
4161 4515.5 122876.8
4519 4904 133448.7
(11045 = 4519x2 + 223x9) (11986 = 4904x2 + 242x9) 400346.2 乾象暦
この中でも特にサロス周期は近点月の整数倍とも非常に値が似ているため,部分日蝕・金環日蝕・皆既日蝕などの条件が似た蝕を予測することが可能。
またサロス周期には6535日に加えて約8時間のあまりが生じるため,サロス周期を3倍してあまりを1日に丸め込むことで,ほぼ同じ場所で同じ時間帯に同じ条件の日食を観測することができるようにしたエクセリグモス周期という周期も考案されている。
ちなみに「サロス」とは古代バビロニアにおいて3,600年周期を表す名称だったが,1691年に天文学者のエドモンド・ハレーが勘違いをしたせいでこの周期を指す名前になった。
なおこれらの周期では,必ずしも直近の蝕を予測することはできない。月と太陽は十分に大きさのある天体であるため,蝕が起こる範囲には広がりがある。月と太陽がこの範囲に収まっている「蝕の季節」であれば,交点上に月と太陽がピッタリ整列せずとも部分日蝕くらいなら発生する。これにより,日蝕が1回発生してから,ほとんどの場合は6朔望月,たまに5朔望月または1朔望月後に,地球上のどこかで必ず日蝕が観測されるのである。
(その反面,月蝕は月が地球の陰の大部分に覆われていなければ発生しないため,6朔望月または5朔望月後に起きても1朔望月に起こることはめったにない。)