意志と意思はどう違うのか?
い‐し【意志】
〘名〙
①目的のはっきりした考え。あることをしたいという思い。こころざし。
*訓幼字義(1717)七
「意とは、意志とつづきて、心の内にたくわへおもふことなり」
〔淮南子−繆称訓〕
②(━する) 物事を思慮し、選択、判断して実行しようとする積極的な心ぐみ。また、その心ぐみを持つこと。特に、心理学で、知識、感情に対立する精神作用の一つ。〔哲学字彙(1881)〕
*葛飾砂子(1900)〈泉鏡花〉八
「随分気の確な女、むづかしく謂へば意志が強いといふ質たちで」
*青鬼の褌を洗ふ女(1947)〈坂口安吾〉
「私が意志して生れたわけではないのだから」
③哲学で、多くの動機、目標、手段から一つを選択し、その実現を意欲すること。広義にはある目的を実現しようとする人間または人間集団の、行動を触発する過程または原因をいう場合もある。
語誌日本では、「哲学字彙」(一八八一)に収録され、定着を見た。明治中期から後期にかけて 「意思」との混同が起こったが、「意志」は、主に哲学、心理学また、日常生活で、「意思」は主に法律関係で多く用いられ、今日に至る。
小学館 精選版 日本国語大辞典