バーチャルYouTuberに具体化する人間観と身体観
ライ サフロン
要旨 2023
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
日本文化人類学会第57回研究大会
バーチャルYouTuberに具体化する人間観と身体観
仮想空間での人間・身体感の変化について、映像的運動とアニメ的運動の2つの運動傾向が融合しているという部分で考察している
2016年に登場したキズナアイは世界初のモーションキャプチャー技術を用いてアバターを操作して人間の身体をシミュレートするバーチャルYouTuberとして登場した。
バーチャルYouTuberは従来の肉体的な人間存在が独占したさまざまな場に浸透し、従来の人間観・身体感への再考を促している。
仮想現実がリアルな世界を再現する目的で作られるのは、既存の支配構造(matsuzen.icon人間観・身体感?)を強化しながら、代替的なリアリティ(別の世界観のあり方)を排除するという特性があり批判されている。→Flesh and Metal: Reconfiguring the Mindbody in Virtual Environments
バーチャルYouTuberの身体のシミュレーションは、トーマス・ラマールが言う動画であるアニメーションと捉えられる。ラマールはアニメ的機械という概念を立てて、これは実際の技術などの前に抽象的なアニメ的機械がある、それは技術的・物質的であると同時に、抽象的・非物質的でもある。すなわち技術決定論ではなく、決定・決定不全の両方を内包した機械と捉えられる。→アニメ・マシーン―グローバル・メディアとしての日本アニメーション―
アニメの機械は撮影台やセル画などの技術的・物質的な物としてあらわれるが、根本的には抽象的・非物質的な世界を分解して、重ねて、動かすという仕組みとして存在しているという考え。
アニメ的機械の持つ前提自体が、ある特定の世界の見え方に誘導してしまう。しかし同時に、完全には固定しきれず、別の可能性も残してしまう。
アニメ的機械の中にある要素としてカメラなどで再現する遠近感を持ったシネマティズム(人間中心的・デカルト的遠近法主義、デカルト主義)と、セル画等の平面移動要素を持つアニメティズムがある。この2つの要素は対立する物ではなく、同時に現れることが可能である。
バーチャルYouTuberの存在にはシネマティズムとアニメティズムの2つの要素があり、キズナアイのアニメーションにおけるこの2つの要素の分析を踏まえて、仮想空間の中でのデカルト主義・人間主義的なリアリティの再現と、それに反定立とされるリアリティの表現について考察する。
matsuzen.iconキズナアイを始めとしたバーチャルYouTuberは仮想空間を通じ、近代的な人間中心のリアリティを表現しているのか、それとも別様の身体感や人間観へのずれを生み出しているのか?
matsuzen.iconバーチャルYouTuber≒アバターの身体は人間の身体の代替ではなく、特定の人間観・身体感を示す装置?
単にアバターだけなのか、それともアバター特有のアニメ的表現なのか、それともバーチャルYouTubeの配信画面という空間(コメント欄、配信枠等が混在する空間)も含まれるのか?含まれそうな気がする。
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