特別な教育的ニーズのある生徒への学校図書館支援
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松戸宏予,"実践記録 特別な教育的ニーズのある生徒への学校図書館支援-読みが苦手な生徒への資料提供の場合-"*読書科学. 日本読書学会.2006,vol.50,no.1,p31-40. <読み取りの視点:該当文章を読むうえで、どのような問いを立てるか>
①司書の推薦に依存する読書支援の形から別の形を模索できないか?
②自分で選ぶ場合、セレンディピティ系で手に取ることもあるかも。調べ学習や、もともと知りたいと思って手に取る場合と、セレンディピティ(なんとなく)で手に取る場合の比率はどれくらいなんだろうか。
③対象生徒の友人や家族との連携を図っていくための具体的な方法はどんなものがあるか。
<読み取りの視点に対するポイント:あなたが立てた読み取りの問いに対する答え>
①遠藤純が「子どもが使える、子どものための検索システムがない」という着想から「ほんナビきっず/ドキドキ絵本づくり for Kids /マンガのひみつ大冒険」といったアプリを実現してるのは参考になると思う。
②①と関連して、物語件名(キーワード)の体系化からセレンディピティ(他のジャンルへの興味の誘導)の議論を整理してもいいかもしれない。
③たとえば学校における読書SNS(五段階評価や、感想を共有できるものを学校向けに作ってみるとか)や漫画やアニメ、TRPGゲームなどと繋げる。これらは②のとも関連して生徒の読書世界を広げることにもつながるのではないか。
<提言:著者のメッセージ(結論)>
読み書きを苦手と感じる生徒ほど、学校司書の本の紹介はあまり役に立つとは感じていない。「読むのが苦手」と読む前からあきらめてしまう場合の児童生徒に対しては、学校司書としてどのような手だてをもって資料提供したらいいかとい問いに対して、「抽象的な内容よりは主人公が具体的にどう動いているかが明確なもの」、「生徒の体験している「家族」「学校」「友達」など身近なテーマから本を選んであげる。」などの理解に応じた資料提供の工夫によってより司書の本の紹介からの読書への動機付けサイクルが回るようになると推測される。また、親からの励ましや友人のやりとりも生徒の読書支援になっていることが分かったが、対象生徒の友人や家族との連携を図っていくための具体的な方法が提示できなかった。
<疑問・意見>
生徒の感想を話すという自主性を尊重する方法と、米原万里が本で書いていた、司書が返却時に要約させる方法とを比べると、後者は借りたくなくなる可能性があるので、今回の調査の方法は適切だと思った。一方で、石原千秋が本で書いている物語文の要約などのトレーニングをせずに、中学以降のレベルの本を読めるようになっていくのか。継続的な調査があると、どれくらい今回の調査の汎用性があるのかより深くわかるのではないか。快読100万語!ペーパーバックへの道 (ちくま学芸文庫)酒井 邦秀(著)など、英語多読で、理解に至らないという話があるが、理解に至らなくても読む楽しみを積んでいくことが大事なのか。長期的な付き合い方ができている人は少ない。理解度の調査 西林 克彦わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 などで取り上げられているタイプの理解度判定調査と連携することはできないか。司書から紹介するのは難しいけど、少し難易度の高い小説をドラマやアニメを経由でざっくりとした内容を知って手に取るというケースもあるが、そういう読書への動機付けサイクルを経由して読む場合の挫折の程度が気になる。
インフラ勉強会でも本が読めないという方がいて、どういう紹介をするべきかということを考えていた。自分が本探しの話を3時間ぐらいした勉強会ではメディア論的に、知識表現のあり方は多様な形があり、必ずしも物理的な媒体に拘らず、自分が情報を受け取りやすいメディアの選択やメディアの変換をテクノロジーで実現することが大切という話をしたが、これと繋がりそう。具体的にはブラウザでpdf形式で落とせるならedgeで読み上げるみたいなことが可能。セルフ音読して、録音したやつを聞きながら2周するという読書の方法もある。Scrapboxなどの共同編集wikiで感想を書き込みながら読むという輪読会とかもよさげ。大人は、子供向けのコーナーの勉強の本から学び始めるといいという話ともつながる。ワーキングメモリに、大量の情報処理をさせるより、少量の見取り図的な情報量の本を選ぶことで、達成感をかんじさせる。
単純接触効果
自発的に選ぶ
あらすじで選ぶ
友達に紹介してもらう
司書からあらすじを紹介される
個別の支援を要する生徒の読書意欲や内容理解の一助に関し、対象生徒への資料提供、文章理解の傾向の要素、対象生徒の友人や家族との連携について考察されている。
読むのが苦手 内容のやさしめな本を紹介する、これまでにその生徒の読書経歴の実態や学校の授業の内容を鑑みて紹介する。
読みに遅れのある児童にとっては、一斉読書の時間を設定しても、本を読む手だての工夫や配慮を考慮しなければ、苦痛の時間でしかない。