数学ブックリストをどのような基準で作ったか
僕自身、BookListを作っていながら、実は本そのものよりも、「どうしてその本を選んだのか」というような教育思想に興味があったりします。まつどさんはどういうおもわくから、個々の本を選んだのでしょうか。(めんどくさい質問を投げてみる)
以前作った数学ブックガイド
アウトライン(要点まとめ)
一問を繰り返し色々な角度から検討する。
これという一冊を決めて、その本の問題を検討するのに役立ちそうな本を読む。
問題の解き方を検討する(→メタ認知)
問題の数学的背景を学ぶ
学習用参考書は質の低いものも多く、基本的に図書館には所蔵がない。なので、絶版になったら古書で買うしかない。
数学の雑誌(「現代数学」や「数学セミナー」など)で連載された記事が書籍化された本は図書館でも所蔵があることが多いので、相互貸借などで取り寄せることができる可能性が高く、ある程度質の高いものも多い。
(関連記事)すべての書籍は「中古品」である/図書館で本より雑誌を見るべき5つの理由
これという一冊の選び方だが、中高生なら学校で使っている参考書でいいし、大学生であっても学校で使っているものや有名な教科書を選べばよい。これは市販のブックガイドを参照すれば決定できる。
これという一冊を選んでも、問題がどんどん解ける人とそうでない人がいる。解ける人は数学辞典などを最低限の知識として研究をすればいいし、できない人は授業でなんとか解決すればいい。独学の場合は、自分なりに説明ができる部分を増やしながら、数学的な背景を見につけていくのが地道だが、一番確実ではないか。図書館で手に入りそうな本を中心にリストに入れるようにしたので、所蔵がありそうだったら中身をチェックして、今考えたいことに役立ちそうなら読めばいい。読まなくても良い。
関連記事 数学にはネイティブはいない:「語学としての数学」完全攻略、その後
数学辞典は、出典が載っていて、次に読むべき本を把握できる。
『数学に感動する頭をつくる』がイチ推しだが、
頭の中で処理できることを増やしていく(記憶する)ことが大事で、
『高校への数学 目で解く幾何 直線図形篇』などを入れた。
数学的背景に関しては
『数学が育っていく物語』を入れた。これは『数学に感動する頭をつくる』のなかで高2向けとか書いてあった気がするが、そんな簡単でないと思うので、補完する本をいくつか入れた。
『高校化学とっておき勉強法』のコンセプトも意識した。
もし文系の学生が大学から数学を学びなおすときに、高校生向けの参考書だけに目を向けるのは損失が大きそうなので、高校生向けだけど大学生が読んでも理解しやすいタイプの本も最初の方に配置した。
頭の中にざっくりとした理解を作って、そのあと次の本に進むときに、それが修正されるように並べた(なので、必ずしも厳密な解説でない本も入れた)。
センター試験であろうと、学習の仕方によっては理解を深めることは可能だ。
『数学の探究的学習―センター試験数学1A・2Bを通して創造力を育む』
入試の形式によって、学習者はどうやって工夫して学んでいけばいいか。
教師の立場だと、どう指導すればいいか。
数学教育のおすすめサイト
怜悧玲瓏 ~高校数学を天空から俯瞰する~
有限のリソースで試行回数をどうやって増やすか
時間
目の前の課題(やるべきこと)
お金
課題をふやしてしまうと、ひとつの問題を複数の角度から検討する時間の余裕がなくなる。一方で別のタイプの解説に出会えるかもしれない。でも参考書だけでみると、どの解説も似たりよったりだ。
お金は有限なので欲しい本は全部は買えない。買えるものしか買えないので、慎重に検討する必要がある。似たような本は買う必要はないし、場合によってはネット上のリソースを活用すれば十分なことも多い。
今、書籍を追加するなら、他の分野で数学が必要になる人向けの書籍が追加できるかも。
その他数学系リンク
数学教育学関係のリソース
数研通信(51号〜最新号)
青空学園数学科
大学の理工系の講義ノートPDFまとめ (数学・物理・情報・工学) - 主に言語とシステム開発に関して
物理
FNの高校物理(分野別目次)
本書き 暇なときに書く
自分は中学のときは数学をあまり理解できてないと感じていたのだが、なんとなく答えが出せる(基準が分からない)という反復練習に疑問を持っていて、問題を解くときも、人よりも速く解けたりしたので、人に教えるような機会も多かったのだが、どうすれば理解できるのかということが分からなかった。どう学べば理解できるのかも分からなかった。
高校に入ってからは、授業の進度が速くてついていけなくなったし、自分が分からない部分を参考書などで補完するように努力したのだが、よくおすすめされるような参考書でも、肝心なところが理解できないという風に感じることが多かった。
数学の入試問題を解けるようにするためには、根本的な理解をしていれば、まず間違いなく解けるはずであり、その根本的な理解とはなにかを考えた。
ひとつの方向として問題方略の検討が大事で、手に入りやすい本だといわゆるチャート式がその類にあたる。
下の数学研究や問題の解き方の本は、問題の背景が分かってなくても、どういう風に方針を立てて問題を解いていけばいいかという検討をどうやってつけるか、とっかかりをどうやって見つけるかという要素を含んでいるものがあると思う。とくに、『数学発想ゼミナール』やG.ポリア『いかにして問題をとくか』はそういう本だと思う。
https://gyazo.com/09106975fe7cc1d43572cada191f45a6
https://gyazo.com/b90e47670823968a9524fb11b4ba8d56