シリコンバレーに引力があるわけ
Background
1. 2019/12 - 2020/02
自分は2019/12に初めてシリコンバレーを訪れた。そのとき、Couch Surringを通じて20人超の外国人の家に泊めてもらいながらUC Berkeley/Stanford/Facebook/Google/Appleツアーをして、実際にそこにいる学生やエンジニアの話を聞いた。特にプログラムで行ったわけでもなく、ESTAの3ヶ月間の期間旅行という形で行った。
学生は勉強熱心で何より自由に溢れた国だと感じた。学生とはまず「何の研究してるの?何に興味あるの?」という会話から始まり、お互い大学で何をしてて、将来何を成し遂げたいのか話し合う。こんな熱量高い会話は日本ではまず生まれない。
早稲田なんて特に「何のバイトしてる?サークル入ってる?彼女いる?」みたいな会話ばかりで辟易してたから、その違いに感動した。
そしてFacebook5万人やGoogle6万人の社員がそこにいる。だから街のそこら中にひとりはGAFAの社員の方がいた。
またソフトウェアエンジニアを志す学生にとってもこれらの企業に入社することはそれほど珍しくなくスタンダードになっていることに驚いた。世界が身近にある環境なんだと、思った。
これも日本との差だと思った。日本にいると、門が狭いし、「Googleのエンジニアです」が超特別視される傾向にある。言語のせいも相まって、多くの人は自己防衛的にグローバルとの壁作ってると思う。
そしてComputer Scienceという学問が超メジャーなのがすごかった。Stanfordの70%はCSの専攻だった。
Facebookの人などもとても優しく、僕のステータスをそこまで重視しない(重視してたらそもそも会ってくれなかったと思う)。それよりも魂を見るというか、「お前を突き動かす根源は何なんだ?」というのをベースに、やりたいことに対して優しく手ほどきしてくれる。
FacebookではTanakaさんというエンジニアに「Presto」「TAO」という論文を紹介いただいた UC Berkeleyの人たちにはおすすめのVISAやここでの起業してみての実感などの体験談を教えてくれた
5年後必ず戻ってこようとその時誓ったmasatojames.icon
2. 2022/04
2022/04に再度シリコンバレーを訪れた。次は起業家として、既に4つプロダクトローンチし、国内で資金調達もしていた。4つめのプロダクトをピボットして、自分は技術者だからクリプトの最先端で勝負したいと思い、また国内から世界を目指すのはいい仮説じゃないと思い、グローバルで戦いたかった。現地の肌感を掴みに行くためにいき、そこではとにかくミートアップに参加したりいろんな人にアポとって会いに行った。dYdXやOpenSeaやSolanaまわりのDeFiプロジェクトの人たちに会った。(自分のクリプト前提知識なさすぎて、深い議論できず機会損失あったと反省した)
起業家として行くと、ここは本当に異様な街であることに気付いた。
300万人いるベイエリアの人口のうちGAFA社員が1%近く、テックワーカーは20%を占めている
年間スタートアップへの投資額は$60bドルで、それだけで世界の10%を占めている(日本全体は$6bでケタが違う)
シード~シリーズAのスタートアップはマインドも事業内容もとてもビジョナリーだなという印象を受けたmasatojames.icon
「こういう課題があるからこうやって解決したい」よりも「こうなったら世界はこうなる」という話し方
それが未来を切り開くmasatojames.icon
そういう事業の創り方をしないと時代は先に進まないmasatojames.icon
だいたいの仮説は研究から生まれてるのだと思ったmasatojames.icon
StanfordやUC Berkeleyの学生が研究論文を仮説のもとにして事業にしていくmasatojames.icon
投資家も研究者が多く、研究に対する審美眼があるからこそ、未来に$60bも投資できるmasatojames.icon
キャリア再現性の高さにショックを受けた
シリーズA起業家で、特にa16zなどからも調達してる人は、だいたいGoogleエンジニア出身だった
アイビーリーグがエコシステムの原点にありインナー・サークルもそこにあるmasatojames.icon
そしてa16zのリサーチャーもだいたいアイビー出身だし、exitしていった起業家もだいたいそう
ここでTech Houseに初めてお邪魔した。Shugoと近くのcafeでランチの約束をし、色々話した。Shugoのネットワーク力の高さと、行動の鋭さにはショック受けて、同年代で初めてここまで尊敬し、負けたくないと思える人に出会った。そこでKazさんもいて、少し挨拶した。その後Tech Houseに少しだけお邪魔した。かじもなさんといなかずさんとかいた。小川ふーた君は寝てた。
その際に会って少し話をしたShugo、Datz、いなかずさん、かじもなさん、Kakinokiさんあたりは「こうなったら世界はこうなる」という話し方に似てて、アメリカ人と同じセンスしてると感じたmasatojames.icon
そこで「Tech Houseは世界で戦う人が集まる場所なんだ」と直感してすごく好きになったし、ShugoからKiyoさんや中屋敷さんの話も聞き、5年以上続くカルチャーの土台としてあることにとても感動したmasatojames.icon
世界一を目指して起業して、自分もインターネットにおける発明がしたいと思っていたから、こういう場所や仲間と戦いたいと思ったmasatojames.icon
なにより、ここに歴史と権威と正統性があると実感したので、自分もなにか貢献してこのコミュニティを拡大し、日本から世界で戦う人をもっと増やしたいと思ったmasatojames.icon
Kiyoさんが作り上げた土台を次のステップに押し上げるのは自分たち若い世代の役目だとShugoと話したmasatojames.icon
DubaiでShugoと一緒に住んでたときもそういった話を何度かしたmasatojames.icon
3. 2023/02 - 2023/04
2月にETHDenverのイベントに行くきっかけがあり、それなら3月中はSF滞在したいと思い訪問した。ちょうどPENTAのseed資金調達もあり、ここで投資家ネットワーキングするのもよかった。また、発明をするために、Ph.D.に入りたいと思い、StanfordのDavid(Distributed Systemsの担当)という教授にこのタイミング会いたかった。この数ヶ月前から「シリコンバレーの時代は終わりつつある」という記事や文章を見かけた。その真偽も確かめたかった。
ミートアップいくつか参加したり、Stanfordやバークレーの教授や学生に会っていた。
中でも、ここで松尾教授に会えたのはターニングポイントになりそうだと感じた。
たしかに人は減り、Metaも1万人レイオフし、SVBは倒産した。しかしStanfordとUC Berkeleyという発明の土台があるこの土地で、発明のネットワークエフェクトが途絶えることはありえないんじゃないかと思っている。masatojames.icon
松尾教授が「場所じゃなくて人に人が集まる」と言っていた。Stanfordにネットワークが働くんじゃなく、そこにいる教授たちに働くのだと。だから、どれだけ教授がいるのかを結局見るのがいいんじゃないかと思った。masatojames.icon
それを踏まえてなおStanfordで長年いい論文が出続けているのはすごいことだなと。masatojames.icon