質問
SFに関して詳細な記事を見ると格好良くて惹かれます。 しかし、まるで別世界の様に見えて理解が出来ません。
解答
理解に供するSF入門はあまり思いつきません。実際、「別世界」だと思うんですが。反則なのを自覚しつつ、まずは『バーナード嬢曰く』をお勧めします。神林しおり嬢の暑い(ママ)語りをお聞きください。
これだけでは何なので、我が国で書かれたSF入門をいくつがご紹介しておきます。
福島正実『SF入門』早川書房、『SFの世界』三省堂
日本SFのパイオニアによるSF紹介書。
筒井康隆編著『SF教室』ポプラ社
年少者向けの貴重な一冊。筒井の他に豊田有恒、伊藤典夫が筆を執る。
小松左京『小松左京のSFセミナー』集英社文庫
海外・日本SFの概説、日本SFの歴史、著者本人による著作解説に加えて、文学本質論・物語原論を収録。
伊藤典夫編『世界のSF文学・総解説』自由国民社
あらすじ中心の作品案内。
荒俣宏『別世界通信』筑摩文庫
幻想文学の入門案内書。巻末の書籍案内もすばらしい。
横田順彌『日本SFこてん古典全三巻』集英社文庫
日本の隠れたSFを掘り起こした快作
石原藤夫『S-F図書解説総目録』S-F資料研究会
S-F資料研究会には『SF書誌の書誌』なるものすごいレファレンスがある
『日本SFこてん古典全三巻』はもう、冒頭の『炭素太功記』から頭がおかしくなりそうなくらいおかしい。理科の参考書なのに登場人物紹介があり、 炭吉=幼名金剛石丸、後に太閤炭吉。
加藤酸素=炭吉の家臣、正しくは加藤酸素之助清正。
福島水素=炭吉の家臣、正しくは福島水素松正則。
竹中窒素之兵衛=炭吉の客分で、其の参謀長。
豊臣秀吉は人界独歩の英雄である。炭素は物界抜群の偉彩である。若し炭素に人間の意気を吹き込んだならば、将に此の書にある炭吉の如くなるべしとの筆者の想像のもとに、太閤記に因んで本書を著はした次第である。
此の一書秀吉の英姿も偲ばれるし、炭素の偉功も学ばれることと信じて疑はぬ。」
繰り返すが、これは理科の参考書なのである。誰かこいつを止めろ、と思わざるを得ないだろ、こんなの。
文献