過去の独学の挫折から、改めて始めようとする際に ハードルが上がり過ぎて、独学に戻ることが出来なくなっています
質問
読書猿さんに質問がございます。
独学に関して、始めること(再スタートも含む)・続けることに関連する内容になります。
暗い気持ちからくる文章になっており、申し訳ございません。
過去の独学の挫折から、改めて始めようとする際に ハードルが上がり過ぎて、独学に戻ることが出来なくなっています。こういった際に、どのような心持で向き合えばよいのかのアドバイスをいただけないでしょうか。
ここ数年で、改めて独学に本腰を入れはじめ 簡単な教材からのやり直しや、学習方法の見直しを行ってきました。そうして進んでいく中で、当然のことですが 上手くいかず、その都度対象法を考えて改善(再スタート)してきました。
その過程で気が付いた自分ができていないことの量や性質があまりに多く酷く、再スタートをする度に「もっと詰めてプランを考えないと、以前の二の舞になってしまう」という考えになり、段々と考えることや準備が増え、それぞれより細部まで行わないといけなくなり、それが途方もないものに思えて怖くなり、独学に戻れなくなってしまいました。
「それでも」と自身に言い聞かせ、無理やり進んだこともあったのですが、早晩行き詰まり、余計に拗らせてしまい、問題に対処する/考えを詰めることを怠ってはいけないという考えに行き着きました。
独学を始めた当初は、ある種何も考えずに突き進めてましたが、段々と進むことへの恐怖が高じてきて、今では「どうせ自分では駄目だ」という考えと無気力さが心を占領してしまっている感覚です。
ただ、こんな精神状態でも自分の立てた志は大事にしたいという気持ちがずっと心の中にあり、上で記した無気力さとぶつかって内心どうしたらいいのかが分からない感じです。
相当に拗らせている、酷い状態であることは自覚しているのですが、どうか読書猿さんの知恵をおかしただけないでしょうか。
解答
あなたが恐怖感と自己嫌悪をこじらせた状態であることは分かるのですが、何をしてどういう結果を招いたのか、情報が足りないので、お話できるのはごく一般的なことになります。
『独学大全』でやる気は原因ではなく結果だと申し上げました。やる気が上がるならうまくいっているから、逆に下るなら何かがうまくいっていないからと、やる気をバロメータのように捉えます。
この観点から頂いたマシュマロを読み返すと、あなたの独学は確かにうまくいっていません。
ただ、どこかうまくいっていないのか、探すのに情報が足りないわけです。
なので、ほぼ唯一書かれている「もっと詰めてプランを考えないと、以前の二の舞になってしまう」と考えたことが原因ではないかと推察します。
問題解決において「もっと」というアプローチは、多くの場合「うまくいってない→もっと→うまくいってない→もっと→……」という悪循環に陥り、事態をさらに悪化させがちです。いわゆる解決が問題の一部を構成している、という状態です。よく知られた例では、日本の学術政策における「選択と集中」が挙げられるでしょう。
この状態に陥った場合、必要なのはdo more(もっとやる)ではなく、do diferent(違うことをやる)です。
厄介なのは、問題に対する認知もまた、問題を再生産する悪循環に巻き込まれているので、間違った解決を存続・強化する方向に固着しがちなことです。平たく言うと、問題の認識・捉え方を変えなくてはならないのに、元の(問題を強化する)認識に戻ってしまうのです。勉強の場合だと「そんなこといっても、逃げじゃないのか」などと考えて、元の問題をこじらせる認識(たとえば「この程度じゃだめだ」など)に戻ることが一例です。