読書猿さんは、本は中古で買ってもいいのか、新品で買うべきか、図書館はどうなのか、とかの話についてどう思いますか?
質問
読書猿さんは、本は中古で買ってもいいのか、新品で買うべきか、図書館はどうなのか、とかの話についてどう思いますか? 綺麗とか汚いとかの面では無く、作家への印税とか、書店の売上とか、その結果の本に関する業界全体への影響とか、そういう経済的な話に関してです。本を手放す時も、売っていいのか、捨てるべきなのか、とか。主に新古書店についての話です。
自分は学生です。大してお金は持っていないから、本を買うなら中古の方が当然安くて買いやすい。だけどそれが全体的に見て良くないのなら、もうするべきではないししたくないと思いました。ですが実際どんな風に影響があるのか、良いのかダメなのか、詳しい話を上手く調べられませんでした。答えが出るまで私は本を買えませんし処分する事もできません。どうか教えてください。
解答
中古で安くたくさん買ってください。利用できるなら図書館も使ってください。
何冊かを諦めて新刊書店で一冊を買うより、
あなたが一人前の本読みに育ってくれた方が、
業界的には何千倍もうるおいます。
たくさん本に出会い、どうしても手元に置きたい本を見つけてください。
そしていつか、がんがん稼げるようになって、山ほど本を買ってください。
あなたがそうなるまでの時間は、今この業界に関わる私達がつくります。
業界を支えるのはあなたの義務ではない。それは私達の仕事です。
本当は私、怒ってます。本を読むばかりか、業界のことを心配までしてくれる若い人に、なんてこと悩ませてるのか、と。
これは本の業界に関わる大人たちが負うべき責任だし問題です。
私は本をよく木にたとえます。木は育つのに何十年かかる。本も、執筆期間は数年でも、著者がそれが書けるようになるまでに、やっぱり何十年かかってる。本を手に取ってくれる読者も同じです。
近視眼的なゼロサムゲームでしか考えられない人がいるのは仕方がない。
生きること、そのためにお金を稼ぐことは並大抵のことではない。
でも、本の森のことを思い出すなら、少し小さな声で話せ、とは思います。
読者となるかも知れない誰かに、私達は自分で、日本語や本の読み方を教えて回った訳ではない。
我々書き手の多くは、自分が育てたわけでもない読者に支えられている。
先人が長い時間掛けて育ててきた、こうした本の森を前提に、我々は本を作っている。