読書猿さんの考える鳥取県立図書館のすごさを教えていただきたいです
質問
突然ながら失礼いたします。
私は鳥取県出身なのですが、先日読書猿さんが鳥取県立図書館のことを話題にあげていらして驚きました。恥ずかしながら私は県立図書館を利用したことがなく、この間のツイートを拝見したことで今度の帰省時に寄ってみようと思いました。
そこで是非、読書猿さんの考える鳥取県立図書館のすごさを教えていただきたいです。
解答
公立図書館は基本的に地域の人たちのためにあるので優劣を述べるのはそぐわないかもしれませんが、出身の方なので、あえてざっくり手短に申し上げると、鳥取県立図書館は、現在の日本でNo1の図書館です。
私だけの贔屓や妄想でない証拠に、わかりやすいものを挙げると、
毎年、図書館総合展のフォーラムとして開催されるLIBRARY OF THE YEARを二度受賞している図書館は全国でここだけだったと思います。
また平成24年慶応義塾大学の調査でも「その図書館の活動が優れているから注目している図書館」として、全国の都道府県・市町村立図書館で NO.1の評価を獲得しています。
さて読書猿の評価を、とのご質問なので、続いて少し詳しい話をいたします。ただ、次々、新しい取り組みをされて、従来の取組も後述するように改善を続けていかれる図書館なので、私に書けるのは今現在の鳥取県立図書館ではないことをお許しください。
まず『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』という映画についてスゴ本ブログのDainさんとした対談で、注釈でですが鳥取県立図書館についてご紹介しました。
この映画を見て「アメリカ図書館はすごいなあ、進んでいるなあ」と言う人が多かったので、Dainさんも私も、日本の図書館だって結構すごいよ、とご紹介したかったのです。そういう文脈でで私が一番に挙げたのが鳥取県立図書館です。
(引用)
注32 読書猿:ほんとに日本の図書館もいろいろやってるんですよ。たとえば鳥取県立図書館の『図書館を活用した「サポートの必用な家庭」応援』や「図書館=居場所!?」キャンペーン 。あと「医療・健康情報」「法律情報・困りごと支援」「子育て応援」の他に「働く気持ち応援」「いきいきライフ応援」なんてもあります。
この映画についての対談の前に行った、こちらの対談では、オーガナイザーの谷古宇さんに「「問題解決の場」としての図書館」というタイトルをつけていただいたのですが、鳥取県立図書館のすごさを一言でまとめると、正に「問題解決の場」である図書館としてスゴイと思います。
例えば、先の注の中にはありませんが、ニューヨーク公共図書館の事例としてよく取り上げられる図書館のビジネス支援についても、鳥取県立図書館は日本で最も先進的な取り組みをしている図書館の一つです。
有名な例だと、 2012年2月に出雲市で発生した竜巻に対してシャッターを守ったことで名を高めた「シャッターガード」の開発元、株式会社 沢田防災技研も、鳥取県立図書館のビジネス支援の利用者だったと聞いています。
各種資料やデータベースの無料利用はもちろん、中小企業診断士との提携による創業・経営に係る相談、就農支援、金融機関との提携により融資相談会までされているそうです。
県内全市町村に図書館設置+全高校に常勤の司書を配置に加えて、では即日宅配システム(県内すべての市町村立図書館、大学・高校図書館に2日以内にリクエスト本が届くシステム)の導入、高校に対する宅配サービス・巡回相談を実施し、県立図書館はこうしたぶ厚いネットワークの中心館です。
先程のビジネス支援事業でも、市町村立図書館、高校図書館を巻き込んだ取組をされています。
まだまだあるのですが、最後に一つ。この解答、きっとDainさんも読むと思うので、以前Dainさんが注目された図書館での医療情報の提供についても、鳥取県立図書館はすごいです。
ビジネス支援もそうですけど、図書館は書籍や雑誌、データベースなどの資料提供はできるけれど、何でもできるわけではない。だから他の機関と連携する。医師会や看護協会、県の医療関係課、地域の病院、地元大学の医学部図書館にも入ってもらって「県民のための健康情報サービス委員会」をつくる。
そうして健康関係のイベントに図書館を使ってもらって、図書館での臨時コーナーづくりもこれと連動する。さらに医学部図書館と県立図書館とで、司書がお互いに出向いて研修し合う。
それからもちろんユーザーの声も聞く。例えば、一般の人が来るから医療情報も、最初は、家庭の医学のような一般向けの分かりやすい医学関係の本を揃えればいいのかと思ってたけれど、意外に専門的な情報のニーズがあると分かる。
こうして医学関係雑誌を新規に7誌導入したり、データベースも『医学中央雑誌WEB』を入れて、その後もっと医学/看護学/薬学だけじゃなくて、自然科学全般に広げたほうがいいとなってど『JDream II』に切り替えたりとか。こんな風にして医療情報サービスの改善を重ねていく。
こうして医学関係雑誌を新規に7誌導入したり、データベースも『医学中央雑誌WEB』を入れて、その後もっと医学/看護学/薬学だけじゃなくて、自然科学全般に広げたほうがいいとなってど『JDream II』に切り替えたりとか。こんな風にして医療情報サービスの改善を重ねていく。