親に「女に学歴は必要ない」と言われます。大学で研究したい分野があるのですが、どうしたらいいのか分かりません。
質問
大学で研究したい分野があるのですが、どうしたらいいのか分かりません。 逆らうと叩かれるので何も言えません。
解答
これからひどいことを書きます。悪魔か死神が喋っているとでも思ってください。そして気分が悪くなったらすぐに読むのをやめてください。アドバイスというより呪いのようなものだからです。
大学に行きたいと希望を述べると「女に学歴はいらない」という考えである親に逆らうことになり、叩かれることになると、あなたは恐れています。ここから分かるのは、あなたが生まれてから今まで「親に逆らった」という理由で暴力を振るわれてきたこと、そして恐怖を植え付けられてきたことです。
子供が気付かず危険なことをしたり、間違ったことをしたなら、親は子を叱って、それはいけないことだと教えます。これをしつけといいます。しかし「大学へ行って研究する」ことは、危険なことでも間違ったことでもありません。危険でもなければ間違ってもいないのに、そうしたいと主張したら叩かれるだろうと恐れる理由は、あなたがこれまでに、危険でなければ間違ってもいないのに「親に逆らった」という理由だけで暴力を振るわれてきたことを示します。
これを虐待といいます。
さて、一見無関係な話ですが、不安や恐怖は怒りとは両立しません。なので不安や恐怖を感じて、それを表に出したくないとき、人は怒りに逃げます。大人で怒っている人がいたら、多くの場合、何かの不安や恐怖を隠そうとしていると思っていいです。
あなたの親は実は、あなたが逆らうことを恐れています。だから、不安や恐怖を隠すために怒り、相手を怯えさせようと暴力を振るいます。
何故か。それはあなたの親が自分でも間違ったことをしてきたことを知っていて、いつかやり返されると心のどこかで思っているからです。
あなたの親がやってきたことが本当に正しいことであれば、やり返されることを恐れる必要はありません。子供だって大人になれば自分たちがやったことを理解してくれて感謝してくれると安心できるはずからです。
では親が恐れている復讐のときはいつ訪れるのか?
それは親が親を辞めるとき、子供が一人前になって、親に対して一人の大人として向かい合うときです。なので、復讐を恐れる親は、親であることにしがみつきます。子が独り立ちする機会、一人前になる契機、特に自分が属する社会と価値観から離脱するチャンスを、ことごとくつぶしにかかります。
親が子に「学歴はいらない」と主張し強要するのは、子が学歴を手にしたら自分たちから離れていくことを、そしてもしかすると自分より上位に立つかもしれないことを、直感し恐れるからです。
けれども、親のその怒りは手遅れです。
壁の向こうを思った心は、とっくにその壁を越えています。
私たちの社会では、違う集団に移るためには学ぶことが不可欠です。学ぶことをしない人は、たとえ違う街に移動することになっても、同じような集団、人脈、価値観の中で生きることになります。
(あなたはこのままでは「女に学歴はいらない」という考えが当たり前で、親に逆らうという理由だけで子供に暴力を振るうことが肯定される世界で生きていくことになります。そうなったら、精神的にも肉体的にも、あなたの命に関わります)。
あなたはまだ若くて、また学校で学んでいるので、生活費や学費を親に頼っていると思います。
また親は、自分に逆らうと暴力を振るわれると思わせることで、あなたを黙らせることもできます。
資金力と暴力(による恐怖)があるために、親はあなたの意思を押しつぶし、言うことを聞かせることができます。
つまり今の時点では親の方があなたより力が上です。
しかしあなたの方が有利な点もあります。ひとつはあなたが若いことです。あなたはこれからどんどん力をつけていくことができますが、親の力は増すことはなく今後衰えていきます。
またあなたはきっと未成年であり学生なので、周りにはあなたを助ける大人が、親以外にもいるはずです。
そこで全体の方針はこうなります。知識を増やし、味方を増やして、カをつけていくこと。
具体的には、(1)やりたい研究ができる大学を決め、そこへ行けるだけの実力をつけること、そして(2)「○○大学で△△の研究がしたい。でもそういったら親に叩かれる」ということを話せる/相談できる大人を複数みつけることです。
大学受験までに、ある程度のレベルにしたいところですが、この方針はその後もあなたの導きになるでしょう。
(1)は当然ですが、研究や大学について調べること、目標に向かって勉強する自体が動機付けを高め、あなたの芯になり、あなたを強くします。覚えておいてほしいのは、目標に向かって努力していると必ず邪魔が入ることです(目標に向かうからこそ、邪魔がすることができる訳です)。「そんなことしても意味がない」といった精神攻撃から、物を捨てられる物理攻撃、ここでもまた暴力もあり得ます。あなたの心を折ろうとする何かに見舞われたら、「これは私が努力しているからだ。私がしていることは間違ってない」と思い出してください。
(2)の「複数の大人」というのは、親というのは子供に対する影響力の点では、強いカードだからです。他人であるところの大人は、そこほで強くありません。やれることも、使える時間も限られています。言い方を変えれば、できないことの方が多いのですが誰でも何か一つや二つは助けてくれることがあるものです(「なんでもやってあげるから任せて」という大人がいたら、それは大抵悪い大人です.)。だから味方には数が必要です。そしてよい味方は他の味方を連れて来ます。
そして最も大切なことですが、自立することとは、少数のたった一つの相手に丸抱えされるのとは反対に、数多くの人たちに少しずつ依存することです。誰かに丸抱えされてしたら、自分の意思がつぶされても、その誰かに逆らうことはできません(このことをあなたはよく知っていますね)。多くの人たちに少しずつ助けてもらっていれば、あなたはそれだけ自分がやりたいことができる訳です。