学力については、誕生月は関係ないと聞きます。なぜでしょうか。
質問
誕生月別のプロ野球選手の統計を見ると明らかに早生まれが多いことがわかりますが、学力については、誕生月は関係ないと聞きます。なぜでしょうか。
解答
私の知識が更新されていないのかもしれませんが、誕生日と学業成績等は「関係がある」とする研究が多いように思います。スレッドにいくつか文献を挙げてみます。
川口大司, & 森啓明. (2007). 誕生日と学業成績・最終学歴. 日本労働研究雑誌, 569, 29-42.
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/12/pdf/029-042.pdf
『国際数学・理科教育動向調査』 (TIMSS) と『OECD 生徒の学習到達度調査』 (PISA) より得られる児童・生徒の成績と誕生日・誕生月に関する個票データを用いたもの。
TIMSS や PISA を用いた実証分析の結果は,相対年齢効果が小学生・中学生・高校生それぞれに頑健に発見され, 同じ学年の最年長者 (4 月 2日生まれ) と最年少者 (4 月 1 日生まれ) の間には,平均して偏差値で 2 から 3 もの学力差があることが明らかになった。(P.41)
この早生まれと遅生まれの間の学力差は, 国私立中学校への在学確率にも大きな影響を与える。 4 月生まれの国私立中学校在学比率は日本全国で 7 %であるにもかかわらず 3 月生まれの数字は 4 %である。 (P.41)
『就業構造基本調査』 を 用いた最終学歴の分析から, 生まれ月の違いによる学力格差が最終学歴の違いにまで持ち越される ことが明らかになった。(p.40)
Crawford, C.E., Dearden, L., & Greaves, E. (2013). The impact of age within academic year on adult outcomes. Research Papers in Economics.
https://ifs.org.uk/wps/wp201307.pdf
イギリスのデータ。早生まれのものは、学業成績が低いだけでなく失業する確率が高い。
Bell, J. F., Sykes, E. D., & Vidal, C. (2009). Birthdate Effects: A Review of the Literature from 1990-on. UK: University of Cambridge.
https://www.cambridgeassessment.org.uk/images/109784-birthdate-effects-a-review-of-the-literature-from-1990-on.pdf
1990年以降のこのテーマの論文をサーヴェイしたレビュー論文。