古い文体の小説を読むにはどうすればいいでしょうか
質問
質問なんですが、古い文体の小説を読むにはどうすればいいでしょうか。
具体的に言うと泉鏡花の「高野聖」を読みたいです。過去に3回図書館で借りては文章の難しさに挫けてしまっています。
台詞の言い回しや単語など見慣れないものが出てくるたびにネットで調べて…を繰り返すうちに心が折れるか返却期限がきてしまいます。
地道にそれを繰り返して、文体に少しずつ慣れていくしかないのでしょうか?
解答
まず時間切れにならないようにテキストは手元に置きましょう。電子データでも構わないなら青空文庫が利用できます。
次に、分からない箇所に行き当たる度に言い回しや単語を調べることは、本人が思った以上に認知資源を消耗します。
トレーニングしてない普通の人が、数回調べただけでヘトヘトになったとしても無理ありません。
この労力をいくらか低減できる「外部足場」のひとつに、現代語訳があります。
『高野聖』なら、理論社から出ている「スラよみ!現代語訳名作シリーズ」が、小学校高学年向けで分かりやすく、また、できる限り原文に即した解釈をしているので、今回の場合、有用だと思います。 もうひとつ『高野聖』を読む「外部足場」としておすすめなのが、
一見、原文とほとんど変わってないと思えるほど、自然で控えめな「加筆」によって、驚くほど読みやすくなる魔法のような本です。「鏡花なのに読むやすい」という不思議な読書体験ができます。
原文と比較すると、読者がつまづきがちな箇所を拾って、さり気なくサポートしてくれることに気づきます。
「古い文体の小説を読む」という問いにもう少し一般的に答えるとすると、
図書館などで朗読音源がみつかるなら利用すると良いと思います。朗読を聞きながら、自分でも音読する。
様々な「外部足場」も使いながら、わからない箇所にあまりこだわらず、何周か回ってみると、随分違うと思います。