賃貸住宅の家賃交渉体験記
注意
この文を書いた筆者は法律の専門家ではありません。家賃交渉を実際に行おうと考えた方は、この文だけで十分とせず、書籍やネットで調べたり、必要があれば法律の専門家・家賃交渉の専門業者に相談するなどを推奨します。
はじめに
こんにちは。まんぷくいちろうと申します。
この記事では家賃交渉のやり方を解説したいと思います。
主に賃貸住宅に住んでいる方向けの内容になります。
一部の内容は不動産を借りながら商売などを行っている方や法人にも活用できます。
さて、家賃交渉という言葉については聞いたことがあっても、自分がそれを行うということをイメージしたことがあるという方は少ないと思います。
しかし、状況によっては家賃交渉をして得をする人もいます。
その機会を活かせば、恒常的に毎月の固定費を減らすことができますが、そのチャンスをみすみす逃す方も少なくありません。
この文を書く動機になったのは、家賃交渉についてのわかりやすい解説本がわずかな本を除いてあまり流通していないということを残念に思ったことです。
非常に生活に対してインパクトのある知識であるのにかかわらず、家賃交渉についてしっかりした知識を持っている人は多くありません。
そのことを非常に残念に思いました。
この本によって、賃貸派の人にとって一番大きい固定費である家賃に関する知識が増え、より安価な家賃で賃貸できるひとが増えることを目指します。
よろしくお願いします。
著者が行った家賃交渉
著者は2006年から東京に住んでいます。
二人暮らしで37平米の2DKのマンションに10万円で入居しました。
10万円の家賃は結構重く、安くできないかなあと考えていました。
入居しているマンションは、しばらく前から常時1/3くらいの部屋が空き室なのですが、だいぶ前に契約で仲介してもらった不動産管理会社のホームページでいま入居しているマンションの物件の家賃を調べてみると、90000円で募集していました。
これにはかなり驚き、自分の契約も賃料を下げられないかと考えました。
大家さんとの最初の契約書に大家さんの家の電話番号が載っていましたので、すぐに電話をかけました。
そして、「インターネットでこのマンションの物件が90000円で募集しているから、自分もその賃料に下げてほしい」とお願いしました。
大家さんからは、「最近入居者が減っているので試しにかなり安くして募集をしてみた。まだその価格で入居している人はいないから、だれかが実際にその価格で入居するまで待ってくれないか」と返答をいただきました。
あまり納得はいきませんでしたが、無理に押すのも悪いと思い、了解しました。
それからしばらく入居者が入ることはなかったのですが、最初の電話から半年後くらいに新規入居がありました。
大家さんに電話をして、「今度の人は90000円で入居していると思う。約束通り私もその賃料に下げてほしい」と言いました。
大家さんからは「不動産管理会社から連絡するから待ってほしい」と言われました。
即答くれてもいいじゃないかと思いましたが承知しました。
その二日後くらいに不動産管理会社から連絡があり、「賃料改定はする。しかしたいへん申し訳ないが、あと4ヶ月くらいで契約更新があるから、そのタイミングでの賃料改定ということにしてくれないか」とお願いされました。
その時、ここでゴネたら翌月からの改定にできるのかな、とも思いましたが、家賃が下がるのがうれしくて承諾しました。
そして契約更新の月から家賃が一万円下がりました。
というのがわたしが行った家賃交渉の経緯です。
今の時点から考えると、反省点がいくつかあります。
まず最初に電話した時点から半年も待つ必要はなかったのではないか。
90000円で募集したのを確認した時点で、強く家賃の減額を主張するべきでは無かったか。
半年待ったということは、6万円の余分な支払いが発生していたということです。
次に契約更新時のきりのいい賃料改定ではなく、即時改定を要求するべきではなかったか、などです。
4ヶ月待ったということは、4万円の余分な支払いが発生していたということです。
つまり合計10万円余分に払った可能性があります。
もっと強く交渉すればよかったなと考えています。
借地借家法の家賃交渉に関わる条文
借地借家法はその名のとおり、土地を借りることと住宅を借りることに関する法律を定めたものです。
この法律に、賃料交渉に関する条文があります。
相場よりも賃料が上または下に変わってしまった時、契約関係者双方に賃料交渉を認めた条文です。
借地借家法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO090.html
「(地代等増減請求権)
第十一条  地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。」
11条は地代に関する規定です。
「(借賃増減請求権)
第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。」
32条は借賃の額に関する規定です。
両方とも記述パターンは同じで、裁判の扱いに関する規定もあります。
この借地借家法の32条により、家賃が相場と離れてしまった場合、家賃の増減を請求する権利が認められているのです。
家賃交渉は上げるのも下げるのも法律で権利が保証されていますので、交渉が可能と思えば交渉しましょう。
借地借家法には、家賃の変更は契約の更新時に行うこと、などという限定はありません。大家さんと交渉して減額されればその次の月から減額しても問題ないと思います。ここをしっかりわかっていれば、私の交渉時にもう少しお金が節約できたと考えます。 
『家賃を2割下げる方法』日向咲嗣
2013年に出た本で、『家賃を二割下げる方法』があります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4883205886
家賃交渉が終わって半年後くらいに、週末に通っている国会図書館でこの本を見つけました。
読んでみると家賃交渉についてかなり網羅的にまとまっており、感銘を受けました。
そして、自分が行った家賃交渉は、完璧とは言いがたいものであったと反省しました。
この本では家賃交渉の手順がとてもわかりやすく解説されています。
一部の内容を紹介したいと思います。
/紹介ここから
目次は下記のとおりです。
プロローグ ー 「稼がない」所得倍増術
第一章 家賃崩壊の真実
第二章 いまより2万円安い物件の探し方
第三章 カンタン!家賃値下げ交渉マニュアル
第四章 賃貸感覚の激安マイホーム購入術
この本によるとリーマン・ショック以降、地価と家賃は下がりました。
ビジネス用のテナント物件では、地価と連動するように賃料は大きく下がっていますが、住宅用賃貸ではあまり下がっていません。
大きな理由は、継続して賃貸物件に入っている人が家賃交渉をしないことです。
この本では、住宅の賃貸をしている人が家賃交渉をするための知識がわかりやすくまとまっています。
相場を調べて適切な交渉をすることで、家賃を下げることができる可能性があります。
/紹介ここまで
リーマンショック以降下がっていた地価も、アベノミクスなどの効果で再び上がってきたという面もあります。この文では不動産相場自体は扱いません。自分に関係のある物件の賃料が下がる場合と上がる場合があると思います。下がっているタイミングを掴むことができればそれを活かしたほうがいいというのが本文の立場です。上げるタイミングがあれば大家さんからコンタクトしてくるでしょう。
家賃交渉をする状況ですが、私は三種類あると思います。
1 入居前に交渉する
2 入居後に自分の入居している物件がより安く募集されるのを見て交渉する
3 入居後に自分の入居している物件がより安く募集されてるわけではないが交渉する
1は本文では扱いません。もともと賃貸を募集する時は、わりと可能な範囲で低い金額で募集すると思いますので、あまり成功率は高くないと思います。
私がおすすめするのは2の状況です。2の状況で家賃交渉をされたら、大家さんは断りにくいだろうからです。
日向氏の本では3の状況もカバーされています。興味のある方は本を読んで下さい。
2の状況を考えてみます。
自分が入居しているマンション・アパートの空き物件の家賃を見てみましょう。
現在の自分の家賃よりも、安い家賃で募集していることがあります。
そうであれば、その事実は重要な交渉材料になります。
その募集ページをプリントアウトかデータで保存し、大家さんと直接交渉しましょう。
ここで注意する点ですが、仲介業者に家賃交渉をしても、下の動画のようにもみ消される可能性があります。
なるべく大家さんと直接交渉しましょう。
交渉のもみ消しについて、youtubeの家賃交渉に関するセミナーの動画を見てみましょう。
https://youtu.be/JR97sN-PQXA?t=2m23s
話しているのは以前不動産業に勤めていた方です。注目すべきは2:23からです。少し文字起こしをしてみます。
「リーマン・ショック以降物件の評価下がってますけれども、特に都心部はですね、下がっていることはあるんですが、家主様からですね、そのことにおいて、家賃を下げましょうかということは、一切、言いません。何を隠そうですね、わたくし、数年前まで不動産業の方に勤めておりまして、家賃の交渉に来られる方もいらっしゃったんですけど、そうですね。一回か二回、「じゃあ相談しておきます」とか、「ちょっとむずかしかったですね」って言っておけば、たいてい皆さん、引き下がってもう言ってこなくなるんですね。なので、家主に相談することは、まず、あまりなかったです。」
はっきり家賃交渉はもみ消すと言い切っていますね。
家賃交渉する場合はなるべく大家さんと直接行いましょう。
また、賃貸相場が下がった場合でも、大家から賃借人に家賃減額を提案することはないということも指摘されています。私の場合もそうでした。
大家さんへの連絡は、文書で連絡する場合と、電話で連絡する場合があると思います。
文書の例は検索するとでてくると思いますし、日向氏の本にも例文があります。
私の場合は電話で直接連絡しました。
大家さんが賃料を下げるのを渋った場合、簡易裁判などの選択肢もあると日向氏の本には書いてあります。
この辺に興味のある方は実際に本を読まれてから判断してください。
参考文献
日向咲嗣『家賃を2割下げる方法』 2013 三五館
まとめ
家賃交渉の流れをまとめたいと思います。
まず、自分の入居している物件の空き部屋の募集家賃を調べる
そこで自分が契約している家賃よりも安く募集していたら家賃交渉のチャンス
そして証拠を保存して大家さんに家賃交渉を迫る
本文では、家賃交渉というのは法律で認められている権利であること、家賃交渉の本の紹介、こういう状況の時は家賃交渉しやすいという説明をしました。
実際に交渉するのはかなりストレスのかかることですが、うまくいけば、家計にプラスになります。
頑張ってください。