国立国会図書館のすすめ
「来館利用上のお願い」pdf
はじめに
こんにちは。
皆さんは東京都の永田町の国会議事堂の隣にある国立国会図書館という施設をご存知でしょうか。
日本で出版されたすべての出版物には国会図書館への納本義務があります。
2013年での国会図書館の図書の蔵書数は1,000万点強で、雑誌の蔵書数は1600万点弱です。同年の図書の年間受入点数は約24万点で、雑誌の年間受入点数は56万点強です。他の種類の資料もあります。
それらの資料を、18歳以上ならだれでも利用することが可能です。
利用者が国会図書館に行って利用申し込みをして、国会図書館の中で読んだり資料の一部を複写してもらうことができます。基本的に館外への貸出はできません。
著者は2012年の夏から毎週のように国会図書館に通っています。
毎回充実した時間を過ごすことができています。
しかし、もっと早くから通えればよかったのにとよく思います。
どうしてもっと早く国会図書館のことを知ることができなかったのだろうと何度も考えました。
ブログやまとめ記事での国会図書館の紹介は探せばでてきますが、本の形式で国会図書館をガイドするものが少ないという印象を持っています。
その隙間を埋めるために本書を出版することにしました。
一利用者の視点からの紹介ですので、偏っている部分や足りない情報もあるかと思いますが、国会図書館を利用したことのない方を対象にガイドをしていきたいと思います。
国会図書館には遠隔で利用できるサービスなどもありますが、本書では主に永田町の国会図書館で利用できるサービスについて説明します。
それでは、よろしくお願いします。
参考サイト
国会図書館とは
国会図書館は1948年に設立されました。
国会図書館法の前文には、
「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」
と書かれています。
「真理がわれらを自由にする」という標語は、国会図書館の本館カウンターの上部にも大きく書かれています。
一度どこかで聞いたことがある人も多いかもしれません。
国会図書館法の第一章第二条には
「国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。」
と書かれています。
この規定があるため、国会議員だけでなく国民にも国会図書館を利用する権利があります。
参考文献
納本制度とは
国会図書館法は第十章の第二十四条で「国、地方公共団体、独立行政法人等による出版物の納入」の義務を定めています。
第二十四条にはこうあります。
「国の諸機関により又は国の諸機関のため、次の各号のいずれかに該当する出版物(機密扱いのもの及び書式、ひな形その他簡易なものを除く。以下同じ。)が発行されたときは、当該機関は、公用又は外国政府出版物との交換その他の国際的交換の用に供するために、館長の定めるところにより、三十部以下の部数を直ちに国立国会図書館に納入しなければならない。
一 図書
二 小冊子
三 逐次刊行物
四 楽譜
五 地図
六 映画フィルム
七 前各号に掲げるもののほか、印刷その他の方法により複製した文書又は図画
八 蓄音機用レコード
九 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により文字、映像、音又はプログラムを記録した物」
意外と出版物の定義が広いと思われるかもしれません。私も改めて確認して驚きました。
一の図書とはマンガを含めたいわゆる単行本のことで、三の逐次刊行物とは雑誌・新聞・年鑑のことをさすようです。
その次の第十一章の第二十五条で「その他の者による出版物の納入」の義務を定めています。
第二十五条の一では、
「前二条に規定する者以外の者は、第二十四条第一項に規定する出版物を発行したときは、前二条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない。」
と定められています。
この規定により、国会図書館では日本で出版された出版物の非常に高い割合が集まることになります。
第二十五条の二では
「発行者が正当の理由がなくて前条第一項の規定による出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の五倍に相当する金額以下の過料に処する。」
と定められています。
納本制度には罰則規定もあるのです。
とはいえ、納本制度に従っていない出版社も多いようです。
参考文献
開館時間
開館時間
国会図書館は9:30開館です。平日は19:00閉館、土曜日は17:00閉館です。
閉館時間の1時間前まで本のリクエストが可能です。
日曜日と祝日と第三水曜日と年末年始は閉館しています。
日曜日もサービスしてくれれば最高なのにな、とよく思います。
1998年に出版された『国立国会図書館入門』での開館時間の説明では、土日の開館は第三土曜日だけだったとあります。
また、その頃は土曜がすべて開館していないことに批判があったという記述があります。
現在はその頃とくらべると改善されているようです。
施設
本館ではリクエストした図書が受け取れます。
新刊ではリクエストした雑誌が受け取れます。
私の利用スタイル的には本館の資料をリクエストすることが多いです
国会図書館は日本各地にいくつか分館がありますが、多くの資料は永田町の国会図書館に集中しています。
参考文献
国立国会図書館監修+NDL入門編集委員会編 『国立国会図書館入門』 三一新書 1998年
資料について
国会図書館で閲覧できる資料について説明します。
活字の単行本の蔵書は圧倒的
国会図書館で充実しているのは活字の単行本です。
納本率は高いようで、タイトルのわかっている本を検索して蔵書がないことはほとんどありません。
個人の主観的印象では活字の単行本で目的の本がないのは2%以下くらいです。
資料は本館2階の受け取りカウンターで受け取ります。
2階といっても入り口も2階ですので、イメージ的には1階です。
国会図書館を利用するようになって、読みたい本はなんでもリクエストすれば読めるという環境を手に入れました。
それ以前とは本に対する考えが変わったように感じます。
いい面と悪い面を感じていますが、いい面は何か調べたいことがあったら徹底的に調べようという態度になったことです。
その態度でダイエットについて調べていたらkindle本になりました。
悪い面は、もともと一冊の本をじっくりと隅から隅まで読むタイプではありませんでしたが、飛ばし読みに拍車がかかるようになりました。
国会図書館では5冊までリクエスト可能で、受け取った本を返すまで次のリクエストはできません。
個人的に、今読んでる本をじっくり読むよりも早く返却して他の本をリクエストしたほうがいいのでは、とジレンマを感じたりすることが多く、出してもらっている本を集中して読めなくなったりする傾向があります。
国会図書館の資料についての公式の情報は、下のリンクから読むことができます。
デジタル化資料
国会図書館内の端末で、まだ著作権の切れていない古い資料などをスキャンした電子化資料が閲覧できます。
PCブラウザでの閲覧はあまり読みやすいとは言えないと思いますが、電子化された古い資料は紙での利用が停止されていることが多く、その場合は端末で読むしかありません。
端末でしか読めないのは不便ですが、待ち時間がないため、どんどん読んでいくことができます。そこはすごく便利です。
2018年現在だと、2000年くらいまでの雑誌などは電子化されているのものが結構あるようです。
また、図書館向けデジタル化資料送信サービスというものがあり、「国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等(当館の承認を受けた図書館に限ります。)の館内で利用できるサービスです。」ということです。
入手が困難な資料に限定されているようです。
紙の資料もデジタル化された資料も、もっとも広範囲に読むことができるのは、国会図書館館内です。
下のリンクが公式情報です。
(以前デジタル化された資料は承認を受けた図書館ならどこでも読めるような誤った記述していました。訂正いたします。申し訳ありません。)
国会図書館デジタルコレクション
著作権の切れた資料で、著作権関係の確認の取れたは国会図書館のデジタルコレクションからどこからでも閲覧できます。
洋書は和書ほどの蔵書量ではない
国会図書館の洋書の蔵書は和書に比べると見劣りします。
私が読めるのは英語だけですが、タイトルを検索しても蔵書がないことのほうが多いです。
国外の本に関しては納本制度がありませんので、仕方ないと思います。
私は特定の読みたい洋書がある時は紙版をAmazonで買ったり、電子版を購入して読むことが多いです。
英語の本を読みまくるためにいつか英語圏の大きな図書館に行きたいなとか思っています。
マンガも読める
国会図書館にはマンガも納本されており、自由にリクエスト可能です。
マンガを読んでいる利用者もよく見かけます。わたしも結構読みます。
単行本が出版された後に表現が自主規制されたマンガの、規制前のバージョンを読むことなどもできます。
活字の本に比べて納本率は低いようで、検索して目的のタイトルの所蔵がないことが比較的よくあります。
資料は活字などの単行本と同じく本館の受け取りカウンターで受け取ります。
図書別室
18禁の成人向けの書籍も、納本されたものならば国会図書館にはあります。
しかし納本率は低いらしく、活字の単行本のようにほぼなんでもあるという状況ではないようです。
18禁関係の本は、本館3階の図書別室という少し離れた所で読むことになります。
図書別室の外への持ち出しはできず、資料を受け取ったら図書別室内で読む必要があります。
18禁関係の本は受け渡しの時に気まずさを感じることも多いです。
また、例外的に人気のある図書なども図書別室で読むことになります。
前に人気の小説などでそういうことがありました。
回転をよくするためと思われます。
雑誌もある
国会図書館には雑誌も所蔵されています。
検索端末では雑誌タイトルを検索し、そのタイトルの目的の号をリクエストします。
雑誌は一度に10冊まで利用可能です。
雑誌にも当然納本制度がありますので、市場で流通している雑誌はだいたい読むことができます。
古書市場で流通していないような古い雑誌なども読むことができます。
週刊少年ジャンプの創刊号などもリクエストして読むことができます。
資料は新館2階の受け取りカウンターで受け取ります。
ここから、2階の本館、新館受付以外の資料室の紹介をします。
科学技術・経済情報室
本館二階の別室の資料室です。入り口に防犯ブザーがありますが、そのまま入ることができます。この資料室は閉架ではなく、開架ですので、棚から出した本をそのまま閲覧することができます。
人文総合情報室
本館二階の別室の資料室です。科学技術・経済情報室と仕組みは基本的に同じです。入り口に防犯ブザーがありますが、そのまま入ることができます。この資料室は閉架ではなく、開架ですので、棚から出した本をそのまま閲覧することができます。
古典籍資料室
利用したことがありません。
地図室
利用したことがありません。
憲政資料室
利用したことがありません。
音楽・映像資料室
音楽・映像資料室は、以前には新館側の音楽・映像資料室と新館側の電子資料室として分かれていたものが、電子資料室のフロアだった場所に統合された資料室です。
電子資料とは、CD-Rom付きの本などが該当し、これらの本はリクエストしたあと音楽・映像資料室の中で閲覧します。
この電子資料は、本館の書籍のリクエストとは別カウントになりますので、本館で5冊リクエストしていても、それに追加してリクエストすることができます。
また、公式サイトの引用ですが、「音楽・映像資料室では、録音資料(レコード・CD)、映像資料(Blu-ray・DVD・LD・VHS)が利用できます。」と記載があります。
しかし許可制ということで利用のハードルは高いようです。
映像資料は調査研究のためであるという誓約を書かないと利用ができません。
以前に音楽・映像資料室が単独で存在した時に一度だけ利用したことがありますが、かなり念入りに研究目的であることを確認されました。
ダイエット本の執筆のためと利用目的と説明しましたが、出版済みの本のタイトルを求められました。
やや不快な経験でしたので、今後音楽・映像資料室の音楽・映像資料を利用することはないと思います。
録音資料と映像資料は紙の資料ほどは自由に利用させない方針のようです。
音楽・映像資料室の他に、憲政資料室と古典籍資料室も許可制となります。
利用したことはありませんが、音楽・映像資料室のような厳しさだと推測できます。
一方、本に付属するCD-RomやDVDの利用は録音資料や映像資料の利用ほど厳しくはありません。利用するPC端末は指定されますが、研究目的であることを確認されることはありません。CDかDVDに音声が含まれれば、ヘッドホンを使用して中身を利用します。
議会官庁資料室
利用したことがありません。
新聞資料室
新館の4階には新聞資料室があります。
国会図書館公式サイトには「全国紙 、地方紙、業界紙、政党紙、スポーツ紙など、約9,620タイトルに上る日本語の新聞と、主な外国語の新聞約1,170タイトルを所蔵しています。それらは原紙、縮刷版・復刻版、マイクロフィルム、マイクロフィッシュなど、さまざまな形態で保存されています。」とあります。
日本全国の主要紙の近年分がバインダーで閉じられて開架資料になっており、それらは自由に利用できます。
最近の新聞記事で読みたい特集があった場合などは便利に利用したりします。
しかし、ほとんどの資料は閉架資料だということです。
また、館内の検索端末からは多くの新聞データベースにアクセスできます。
新聞データベースが使えるのは利用価値が高いと思います。
参考文献
利用手順
国会図書館の利用手順を説明したいと思います。
その前に、国会図書館には普通の図書館と違って多くの利用ルールがありますので、下のリンクをよく読みましょう。
① カードを作る
ここからは国会図書館の利用手順を説明したいと思います。
国会図書館の入館資格は18歳以上であることです。
18歳以上なら誰でも利用カードを作ることができます。
公式サイトには
「満18歳以上の方ならどなたでも登録することができます。」
「氏名・現住所・生年月日が確認できる本人確認書類が必要です。」
「勤務先や学校等の住所では登録できません。」
とあります。外国人の方もみかけますので、日本人に限るということはないと思います。
有効期限は3年です。
利用期限が近づくとサイト上で更新できるようになります。
国会図書館は連絡通路で繋がった本館と新館に分かれていますが、新館の申し込みカウンターで申請用紙に記入し、身分証明書と一緒に申請します。
申請時に端末利用のためのパスワードも申請します。このパスワードは端末利用時に毎回入力しますので、覚えておく必要があります。
混んでなければ15分程度でカードが渡されます。
② 荷物を預ける
国会図書館にはバッグの持ち込みができませんので、100円ロッカーに荷物を入れる必要があります。
この100円は後で返金されます。
ロッカーの横には両替機があり、500円硬貨・千円札の100円硬貨への両替ができます。
500円硬貨と千円札以外の両替はできません
100円硬貨・500円硬貨・千円札がすべてないときは、警備員の方からロッカー用の専用メダルを借りることができます。
このメダルは鍵をかけるときに投入します。
鍵を開けるときに戻ってこないのでそのまま帰ります。
③ 本を検索してリクエストする
国会図書館は人文資料室や自然科学資料室や新聞資料室などの一部資料を除いて完全な閉架式なので、手にとって選ぶことはできません。また、基本的に館外への貸出もできません。
本を利用するには検索端末で検索して各資料ごとに利用申し込みをする必要があります。
ネットも閲覧できますので、本をネットで探しながらリクエストすることも可能です。
私はAmazonの検索機能を使いながら、リクエストする本を探すことが多いです。
また、普段twitterなどを読んでいると、面白そうな本の情報が入ってくるので、それをカートに入れておいて、国会図書館に行ったときにまとめてチェックするなどのやり方をしています。
館内に入っている時は、自分のスマホやPCなどの端末からでも本のリクエストができます。
④ しばらく待って到着したら受け取る
利用申し込みをしたあとは、20分から25分くらい待てばカウンターで受け取り可能になります。
待ち時間は食堂に行くなり、スマホを使うなり、開架の資料室などで資料を閲覧するなり、持って入った自分の本を読むなりで暇を潰すといいと思います。
国会図書館では手元に本がなくて待つしかないという状況がよく発生します。
暇つぶしの行動をあらかじめ用意しておくことが大切です。
何台か設置されている専用の確認端末で到着したかどうかを確認できます。
検索・資料リクエスト用のコンピュータでも確認できます。
資料が到着したら、本館・新館の各受け取りカウンターで資料を受け取ります。
⑤ 読む or 複写リクエストする
リクエストした資料が届いたら、館内の椅子や閲覧室の机などで読むことができます。
国会図書館の資料は「100年後の利用者も読めること」を目標に管理されていますので、資料を痛めないように読む必要があります。
書き込みなどはもちろん禁止です。
資料を読みながらの飲食も禁止です。
食堂などに資料を持ち込むことはできず、食堂を利用する時は資料を入口付近のロッカーに預けるようにと公式サイトに記述があります。
また国会図書館では有料で資料の一部をコピーをしてもらえます。
一度リクエストして出してもらった本の情報を、複写申込のコンピューターでプリントアウトし、その用紙にコピー範囲を記載することで申し込みをします。
自分ではコピーできず、職員の方がコピーする方式です。
コピー可能範囲に関して、著作権法をかなり厳格に運用しています。
本一冊をまるごとコピーすることなどはできません。
論文集などで、ある著者の論文の全体がコピー出来ないこともあると聞きます。
このような厳格な運用について、不満を持って揉めてしまう人もいたりするようです。
また、コピーは原寸のみ可能で、拡大・縮小などは不可です。
数十分待ってコピーが完了した後、現金で支払いをして複写資料を受け取ります。
複写サービスについては、遠隔地からも利用が可能です。
すでに利用者登録を済ませている人限定のサービスですが、WebOpacから複写の申し込みができます。
国会図書館の利用者登録は郵送でも可能ですので、複写サービスのみでしたら、永田町に一度も行かなくても利用は可能です。
<追記>
複写についてもうちょっと説明します。
国会図書館公式の説明
「著作権にかかわる注意事項」
国会図書館では、職員さんに複写をしてもらう仕組みですが、著作権法により作品の一部分しか複写できません。
「図書を複写できる範囲」は半分までです。
記事の別れていない単行本の場合、全体の半分まで複写できます。
短編集・論文集・分担執筆などでは、それぞれの作品・論文・執筆箇所の半分まで複写できます。
その他の著作物でも、だいたい半分までになります。
例えば一人の著者の評論集の単行本で一つの記事をまるごとコピーしようとした場合、できないと言われます。
「雑誌や新聞を複写できる範囲」は、「「発行後相当期間を経過した」雑誌・新聞等に掲載された個々の論文・地図・写真・絵画・楽譜等の著作物については、その全部を複写できます。」とあります。
「相当期間」の定義は下記のとおりです。
週刊誌 → 1週間が経過するまで
月刊誌 → 1か月間が経過するまで
季刊・年刊の雑誌など → 3か月間が経過するまで
新聞(日刊) → 当該日が経過するまで
私の場合、単行本の評論集の1記事をまるごと複写してもらおうとして断られたことがありますが、古い雑誌に載っていた1論文は全ページ複写してもらえました。
⑥ 返却して③に戻って以下繰り返し
国会図書館では、書籍は一度に5冊まで、雑誌は一度に10冊まで利用可能です。
この制限には、リクエストして現在手元にある本も含まれ、次のリクエストをするには資料を返却する必要があります。
一冊読んだら本を返却して次のリクエストをし、本が届くまでに他の資料を読む、というのがよくある利用スタイルだと思います。
マイリスト・カート機能
端末で検索した結果の資料タイトルをマイリストまたはカートの機能で保存することができます。
マイリストで本の情報を記録することができます。カートでもできます。
違いは、本をリクエストするときは一度カートを通す必要があることです。
本をリクエストするときは、一度カートに入れてその中から3件まで選んでリクエストします。
国会図書館のOPACはネット経由で外からも利用が可能です。マイリストとカートの機能も使えます。
IDとパスワードを入力してOPACの中に入ります。
事前に家のPCなどでリストをたくさん保存しておいて、国会図書館に行ったらそのリストを見ながらどんどんリクエストしていくということも可能です。
2018年のシステム更新で、スマホ対応が行われました。以前と比べてかなり便利にスマホから国会図書館のOPACが利用できます。
Amazonの紙本のページから国会図書館に移動するブックマークレット
下のコードは、Amazonの紙の本のページで使うと、その本の国会図書館での検索結果に移動するブックマークレットです。
個人的に便利に使っています。興味があればどうぞご使用ください。
code:js
javascript:(function(){
var Asin= document.getElementById('ASIN');
})();
検索条件の保存
検索履歴自体を保存することも可能です。2018年のシステム変更でできなくなったのかと思っていたのですが、よく調べたら可能でした。
やり方は簡単で、検索をしたあとのURLに条件が保存されていますので、そのURLをコピーして保存しておけば条件が保存できます。ソート順は、ログインしていれば自分の設定がそのまま適用されるようです。
最初は検索条件のURLを保存とかしていましたが、あまりしなくなりました。
国会図書館オンラインにはヘルプもあるのでそちらを参照ください。
閲覧・通信設備
国会図書館では机や椅子はかなりの数が用意されています。
閲覧室も何室かあります。電子機器が使える閲覧室と使えない閲覧室など特徴が分かれています。
個人別の机があり、一部の閲覧室では全席にコンセントも備えられています。
利用者の多い土曜日でも、完全に席がうまることはなかなかありません。
おそらく仕事場として使っている人もいると思います。
利用資格は18歳以上ですので、大学受験浪人生なども利用可能です。実際利用している浪人生もいるようです。
wifi
国会図書館ではFREESPOTのwifiが利用できます。
第一閲覧質の入り口横の書類が置いてあるラックにパスワードが載っている冊子が置いてあります。
そのパスワードでログインして、freespotのサイトでメール認証などをすれば使えるようになります。
gmailなどでも利用できます。
wifiは通常のものと5Gのものがあります。機器が対応していれば5Gの方が速いらしいです。
私は国会図書館を利用しはじめて7年目でようやくwifiの利用方法がわかりました。
それからは持ち込んだPCの利用などがかなり便利になりました。
もうちょっとわかりやすく案内してくれていたらよかったのになと思います。
手荷物はちょうどいい量にしよう
国会図書館には自分の本やノートやパソコンやスマートフォンなどを持ち込めます。
「B5判以上の大きさの不透明な袋物」は持ち込めません。透明な袋は大きさに関係なく持ち込めます。
B5サイズというのは、182×257mmです。
参考
よくあるご質問:館内への持ち込み|国立国会図書館―National Diet Library
(以前、透明でない袋は持ち込めない、と間違った情報を書いていました。申し訳ありません。訂正いたします。)
以前は、ロッカーの横には透明の持ち手になる穴の開いたビニール袋が置いてあり、自由に利用できました。
しかし、レジ袋有料化の流れなどもあり、ビニール袋の無償提供がむずかしくなったのか、透明のビニールバッグの貸し出しが始まりました。
結構硬さのあるビニールで、ペットボトルなどを差すポケットもあります。
また、国会図書館は過去にイヤホンの利用が禁止されていましたが2016年10月から利用できるようになりました。
それまではたまにイヤホンを利用している方が職員さんに注意されているところを見かけたりしましたが、今ではそういうことはありません。
2019年くらいにショルダーバッグ(ポーチ)をそのまま身に着けて国会図書館に入館するようになりました。
家から国会図書館への移動中もそのバッグだけでしたので、入り口のロッカーを使わずに国会図書館が利用できました。
中に入れているのは、お金とスマホとカードと手拭き用のタオルなどです。
パソコンや本などを持ち運ばず、荷物を小さくできる場合は、このやり方もいいと思いました。
基本的に書籍を読むために国会図書館に通っており、現地でパソコンとかを使いたいとは思わないので、ショルダーバッグだけで行くことが多いです。
国会図書館利用者のアンケート結果
国会図書館が利用者を対象にアンケートをしたデータがありますので、紹介したいと思います。
8箇所で調査が行われましたが、東京本館のものだけ取り上げたいと思います。
よく覚えていませんが、この調査は私も回答したと思います。
調査概要
8月24日(木)~26日(土)(3日間)
来館者数(人)6,439
配布数(枚)4,201
回収数(枚)1,889
回収率(%)45%
pdfの表を文字データにしたものなので、読みにくいと思いますが、回答の後の数字が度数、次の数字が割合です。
1 当館の利用者登録は行っていますか。
登録している 1677 89%
本日登録した(仮登録を含む。) 173 9%
登録していない 15 1%
無回答 24 1%
合計 1889
約1割の人は新規登録のようです。
2 最近1年間の東京本館への来館頻度を教えてください。
ほぼ毎日 65 3%
週に1回以上 337 18%
月に1回以上 668 35%
年に1回以上 562 30%
本日が初めて 242 13%
無回答 15 1%
ほぼ毎日来館している方が3%います。
13%が初来館です。
3 質問2で「本日が初めて」とお答えいただいた方へおたずねします。当館を何でお知りになりましたか。
国立国会図書館ホームページ 50 21%
その他のインターネット情報 27 11%
雑誌・新聞 6 2% テレビ 10 4%
家族・友人・知人から聞いた 89 37%
その他 49 20%
無回答 11 5%
合計 242
口コミ経由で国会図書館を知った人が37%と最も高くなっています。
4 本日の滞在時間はどのくらいですか。
1時間以内 108 6%
1時間~3時間以内 797 42%
3時間~5時間以内 633 34%
5時間~7時間以内 255 13%
7時間以上 68 4%
無回答 28 1%
合計 1889
1時間~3時間以内の利用が約4割です。
5 本日の来館目的はどれですか。(複数回答可)
学術・研究、学業 1097 58%
ビジネス関連の情報収集 471 25%
日常生活上の課題解決のための情報収 集 125 7%
趣味・教養 545 29%
施設の見学 46 2%
その他 50 3%
無回答 12 1%
やはり学術・研究、学業を目的として来館される方が多いようです。
趣味・教養を目的として利用することも想定されていることがわかります。
8 国内で発行された全ての出版物を国立国会図書館に納入することが法律により義務付けられています。 このような制度(納本制度)を御存じですか。
知っている 1486 79%
知らない 382 20%
無回答 21 1%
合計 1889
2割の人は納本制度を知らないようです。
最後に、あなた御自身について、おたずねします。
15 年齢
19歳以下 23 1%
20~29歳 411 22%
30~39歳 246 13%
40~49歳 350 19%
50~59歳 374 20%
60~69歳 280 15%
70歳以上 128 7%
無回答 77 4%
合計 1889
全年齢層から利用されています。
16 職業等(一番当てはまるものを一つお選びください。)
会社員・公務員・団体職員(研究職・技術 職) 474 25%
会社員・公務員・団体職員(事務職・その 他) 305 16%
教職員(大学教員を含む。) 128 7%
出版・報道関係 56 3% 医療関係(学生含む。) 40 2%
自由業・自営業 217 11%
学生・大学院生 336 18%
主に家事・育児 18 1%
その他(無職を含む。) 221 12%
無回答 94 5%
合計 1889
会社員と学生の利用が多いようです。
17 主たる活動地(勤務地・学校所在地又は居住地)を一つお選びください。
東京都23区 1080 57%
東京都内(23区除く。) 128 7%
埼玉県 113 6%
千葉県 91 5%
神奈川県 199 11%
その他 179 9%
無回答 99 5%
合計 1889
23区在住の利用者が過半数のようです。
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県以外から来館されていると回答している方が9%います。
食事場所
国会図書館で食事・水分補給ができる場所を紹介します
食堂
食堂は本館の6Fにあります。
私が国会図書館を頻繁に利用しだしたのは2012年の夏からです。
2013年4月に一度食堂の業者の変更がありました。
それまでの食堂の業者はかなり個性が強かったです。
グルメマンガの「めしばな刑事タチバナ」第10巻でも、カレーライスと牛丼が合わさった「国会丼」などその頃のメニューが賞賛されています。私はそのころの業者が好きでした。
食堂は券売機方式です。売店と同じように、交通系電子マネーが使えます。
利用中の資料の持ち込みはできません。ロッカーに預けるようにとの注意書きがあります。
私は資料を利用していないタイミングで食堂を利用するようにしています。
コロナ禍で食堂のサービスが停止していましたが、2023年4月17日に営業再開しました。
2023年4月17日 東京本館6階食堂の営業を再開しました
喫茶店
本館の3階と新館の1階に喫茶店があります。
食堂とは違った喫茶店的なメニューが提供されています。
こちらも利用中の資料の持ち込みはできません。
売店
本館6階の食堂の隣に売店があります。
弁当やパン類やインスタントラーメンなどコンビニ的な品揃えです。
ドリンクの品揃えが豊富です。女性職員さん向けなのか、化粧品も多くあります。
インスタントラーメン用のお湯も利用可能です。
交通系電子マネーが使えます。
隣の食堂の隅で、売店で購入したものを飲食できます。
水分補給
国会図書館にはメインフロアの数カ所にウォータークーラーがあります。
お金がなくても水分補給が可能です。
売店もあり、ドリンク類がかなり充実していますので、好きな飲み物が飲めます。
参考文献
坂戸佐兵衛、旅井とり 『めしばな刑事タチバナ 10』 徳間書店 2013年
喫煙所(廃止)・トイレ
喫煙室(廃止)
以前は喫煙室がありましたが、世の流れに沿う形でなくなりました。
トイレは結構多い
以下は男性用トイレの話です。
国会図書館にはあちこちにトイレがあります。
利用者が移動可能な範囲で、全部で10箇所くらいあるように思います。
以前は本館のトイレにはウォシュレットが付いていませんでしたが、今は洋式のトイレには基本的にウォシュレットがついていると思います。
他の拠点の国会図書館
国立国会図書館 国際子ども図書館
上野の国立博物館の隣に「国際子ども図書館」にあります。
国会図書館が所蔵する資料のうち、子供向けの資料はこの国際子ども図書館に所蔵されています。
国会図書館法の第二十二条には、
「おおむね十八歳以下の者が主たる利用者として想定される図書及びその他の図書館資料に関する図書館奉仕を国際的な連携の下に行う支部図書館として、国際子ども図書館を置く。」
とあります。
私も何度か行ったことがあります。
「国際子ども図書館」という名前の通り、大人だけでなく子どもも利用可能な図書館です。
レンガ棟と研修棟に分かれています。
レンガ棟一階には、小学生以下の子どもを対象にした出入り自由の「子どものへや」「世界を知るへや」や、休憩・飲食・授乳スペース、カフェテリア、テラス席などがあります。
休憩・飲食・授乳スペース
アーチ棟には1階に研修室というのがあります。
そしてアーチ棟の2階には児童書研究資料室があります。
ここが国会図書館の分館と言える機能を持った部分です。
ここでは、所蔵してる資料をリクエストして出してもらって読むことが出来ます。
入るのに国会図書館のカードが必要で、利用方法も国会図書館に準じます。
永田町の国会図書館と違って開架資料も並んでおり、世界各国の子供向け資料や絵本関係の資料が読むことができます。
開架資料で読んだ本は自分で戻すのではなく、返却場所に戻すようにと指示が書いてあります。
個人的には子供向けの資料にはあまり用事がないので、数回しか国際子ども図書館には行ったことがありません。
国会図書館関西館
関西館が京都にあります。
所在地は「〒619-0287 京都府相楽郡精華町精華台8−1−3」となります。
所蔵資料の特徴として、国内の博士論文は、この関西感に所蔵されています。
私は関西館には行ったことはありません。
参考サイト
資料を紛失するとどうなるか
国会図書館ではリクエストして受け取った資料を返却しないと外に出ることはできません。
その資料を紛失するとどうなるでしょうか。
以前そのような経験をしましたので紹介したいと思います。
本館カウンターのあるフロアの外側にある椅子で本を読んでおり、トイレに行くために椅子に本を一冊置いたままにしました。
戻ってくると本がなくなっていました。
すぐに職員さんに事情を話し、一緒に探してもらいましたが見つかりません。
その日は土曜日で15:00くらいに帰る予定でしたが、閉館の17:00まで残るように言われました。
閉館後に資料が戻ってきてないことを確認し、そのあと事情の聞き取りをされ、連絡先を伝えました。
このまま見つからなければ後日弁償してもらうことになるだろうと言われ、承諾して帰りました。
「あーあ」と思っていたら数日後に国会図書館から電話があり、ある資料室の棚に置いてあるのが発見されたと伝えられました。
誰かが勝手に持ち去ってそこに置いたのでしょう。
こういう悪意のある利用者もいますので、借りた資料からは目を離さないようにしましょう。
余談ですが、持ち込んだPCなどの端末からもあまり不用心に離れないほうがいいと思います。
結構警戒心の弱い方が多いように見受けられます。
来館せずに使える国会図書館サービス
国会図書館は、来館せずに使えるさまざまなWebサービスを提供しています。
以下はサービス一覧です。
Webサービス一覧
この中で利用価値が高いのは国会図書館デジタルコレクションでしょう。
著作権切れとなった資料などをスキャンしたものが閲覧可能です。
国立国会図書館デジタルコレクション
また、「個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)」というのも便利なサービスです。
「個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)は、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なもの* を、インターネットを通じてご自身の端末(パソコン、タブレット)等でご利用いただけるサービスです。」
とあります。
要するに、まだ著作権は切れていないが、入手困難と判断した資料を、インターネット経由で閲覧できるサービスです。
個人向けデジタル化資料送信サービス|国立国会図書館―National Diet Library
国会図書館に通ってよかったこと
国会図書館に通ってよかったことで一番大きいのはいろんな本が読めたことです。
日本語の本であればかなりの割合がその場で読めるというのは、国会図書館に行く前は経験したことのないことでした。
一度経験すると時間があれば中毒のように通うようになりました。
副次的によかったこととして、kindleで本が出せたことがあります。
最初に出したのはダイエット本で、毎週ダイエット関連資料を探しながら文章を書いていました。
日本語で出版された本はだいたい手にとることができますので、リサーチの不足感をそこまで感じずにすみました。
ソースとなる論文が見つかった時はかなり興奮しました。
英語論文をバリバリ読むことはできませんでしたが、ある程度役に立つ方法にまとめられたと思っています。
文章作成中に友人に繰り返しレビューしてもらい、そろそろかなと考えた段階で本を出版しました。
出した後に無料で配布すると数百回ダウンロードされたりして、セルフパブリッシングの楽しみを味わいました。
一年強で少ないですが印税も入ったりして嬉しかったです。
今は事情がありkindleでは販売していませんが、Scrapboxというサービスで文章を公開しています。
終わりに
国会図書館を利用してみたいと思われたでしょうか。
あなたが本好きな方で、国会図書館を利用したことがなく、永田町に通える場所に住んでおられるなら、是非一度国会図書館に行ってみることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
まんぷく いちろう