Eigenlayer
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事前に知っておきたいこと
Polkadotのリレーチェーン、Cosmoshub Interchain Seculity、Polygon Supernet等にみられる、「総ステーク量=セキュリティ」という概念
Eigenlayerは、上記における「セキュリティ」を、上記のプロジェクトのように”販売”するプラットフォームである。と表現するのが一番わかりやすい。
あるいは、わかりやすさ優先で重要なコンテキストを消して説明すると、「バリデーターをアウトソーシングするサービス」みたいなものとも言えなくもない。
Eigenlayerはチェーンではなく、またレイヤー1でも2でも3でもない、新しいレイヤー。強いて表現するとすれば”セキュリティレイヤー”。
まずEigenlayer独自の概念”AVS”について
AVS...Active Validated System
ブロックチェーン世界のアプリケーションのほぼ全ては、自身を分散化させることを目指している
ほとんどはDappsとしてブロックチェーン上にスマートコントラクトで展開すればいいのが、まれに、それだけでは完成しないシステムが存在する
ブリッジ
オラクル
etc...
それらが完全に自信を分散化させるのはかなり難しい
以下のような問題がある。
ゼロ点開始の分散性:そもそも、AVSは自分を分散させるためにゼロから自分のネットワークに参加してくれるノードを探さなくてはならない。
低いセキュリティ:AVSでは、一般的にいって、Ethereumと比べるとDappの破壊コストが低くなる。なぜなら、AVSのDappは他のオラクルなどのミドルウェアに依存している場合があり、それらはEthereumよりも攻撃するコストが安い。
価値漏洩:独自のネットワークを作成するために、独自の手数料を実装する必要がある。これらが払われる分、イーサリアムから価値が逃げている(イーサリアムのいいところは大量のステーク量からくるセキュリティである、という文脈の上で)。
資本コストの負担:AVSに参加してくれる新たなバリデーターのために、AVSは高いステーキングリターンを返す必要がある。そしてこれは、AVSそのものの運用コストより大幅に大きくなる傾向がある。つまり赤字。
Eigenlayerにまつわる登場人物
Ethereum
Eigenlayer
Ethバリデーター
オペレーター
Eigenlayerに参加するEthバリデーターのこと
Ethステーカー
リステーカー
EigenlayerにリステークしたEthステーカーまたはバリデーターのこと
Actively Validated Service
AVSとも。EVM互換でない/EVM互換を組み込めない/チェーン外の情報を組み込んでいる等の理由で、(Ethereumに関連するのに)自分自身でノードを集め、分散化させる必要があるプロジェクト/サービスのこと。これがEigenlayerに組み込まれた際、WPではモジュールとも呼ばれていた(わかりづらいので本稿では使用しない)
サイドチェーン
オラクル
シーケンサー
DAレイヤーなど
Eigenlayerでは何ができるのか?
ユーザーは、stETH等のリキッドステーキングトークンを持っている場合、またはネイティブETHをステーキングしている場合、これらを「リステーキング(restaking)」できる。
リステーキングはEigenlayerオペレーターに対して行う。これはDPoSのチェーンで委任先をバリデーター一覧から選んでデリゲートするのと同じ感じ。
リステーキングしたオペレーターがなんらかのAVSのバリデーションに参加していると、そのAVSのトークンがもらえる。
(20230707現在、リステーキング額には上限が設定されており、満杯になっている。つまりEigenlayerのサイトに移動しても新たにリステーキングはできない。現在、Eigenlayerガバナンスの元でこの上限を増やす提案が進行している。)
(20230707現在、AVSがまだ1つもないので、リステーキング報酬は発生していない。)
以下は、各登場人物視点のEigenlayerの使用方法である:
Ethバリデーター/オペレーター
EthereumのバリデーターはEigenlayerに参加してオペレーターとなり、 Eigenlayerに参加するAVSの検証に参加できる。
これには、追加のスラッシングリスク、追加のコンピューティングを伴う可能性がある。(選択するAVSによって変わる)
その分、AVSからのトークン等の、追加のインセンティブがある。
Ethステーカー/リステーカー
Eigenlayerを使用して、ETHまたはLSTをrestakeできる。
これはバリデーターも一般ユーザーもできる。
AVS
AVSは、Eigenlayerを使用して、Ethのセキュリティを部分的に「借りる」ことができる。
AVSは、Eigenlayerに参加するEthereumバリデーター達、つまりオペレーター達に、自らのネットワークのバリデーションをしてもらうということ。
その代わり何らかの形で報酬を払う。トークン渡したりとか。
これによって、自ら分散化のために大きなコストを払う必要がなくなる。
現在、最初のAVSとして、Eigenlayer LabsがEigenDAというものを作成している。
結局Eigenlayerは何をしたいプロジェクトなのか?
Ethereumのセキュリティが別エンティティによって漏洩、低減することを防ぎたい
restakingによって解決する
新しいプロジェクトがいちいち自ら分散化しなければいけないのを助けたい
AVSがEigenlayerを使用することによって解決する
補足